代表取締役が辞任するときに住所が変わっている場合、住所変更が必要か?[小さな会社の企業法務]

代表取締役が辞任するときに住所が変わっている場合、住所変更が必要か?

ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

株式会社の代表取締役、特例有限会社の取締役が辞任する時、辞任届に記載してある住所と登記簿に記載してある住所が異なっていた。

辞任登記をする前提として住所変更登記が必要なのか、私見を交えて紹介します。

代表取締役が辞任するときに住所が変わっている場合、住所変更が必要か?[

登記簿に役員の住所が記載される場合

登記簿に役員の住所が必要な場合は、

  • 代表取締役の場合
  • 特例有限会社については取締役、監査役

です。

特例有限会社の場合は代表取締役は住所が登記簿に似記載されず、取締役と監査役の住所が登記簿に記載されますので注意です。

もし、取締役の住所を載せたくないのであれば、株式会社に変更するのも一考です。

さて、上記の者が住所を変更した場合、変更後2週間以内に変更登記をする必要があります。

例外として、代表取締役が任期満了して重任登記をする場合、住所変更を省略して、再任の登記をすることができる扱いとなっています。

辞任登記をする前提として住所変更登記は必要なのか?

重任登記のとき、住所変更を省略できる扱いとなっています。

辞任登記の際、辞任届と登記簿の住所が異なる場合変更登記をしないと登記申請は受理されないか?

私見は住所変更登記は省略できず、住所変更登記をした上で辞任登記をする必要があるのでは?

つまり、住所変更がない代表取締役などの辞任登記は受理されないと解します。

私がそのように考える理由は2つあります。

ひとつ目は、商業登記で中間省略登記みたいな扱いは認められていないのが原則だということ。

重任登記の住所変更登記が省略できるのが唯一の例外と思ったほうが現状いいです。

2つ目は、会社の代表者等に対する責任追記などの観点から、在任中は代表取締役の住所は正確なものを記載する必要があると考えるからです。

なので、辞任の際の辞任届の住所と登記簿の住所が異なるときは、住所変更登記をしないと登記申請は受理されないものと解します。

代表取締役の住所が変わったら速やかに住所変更の登記をしてください。

一応変更後2週間以内となっています。

遅れてしまうと、過料に処せられるリスクがありますし、コンプライアンス上よくありません

代表取締役等の住所変更登記の際の添付書面は?

代表取締役などの住所が変更になった場合、住所変更の登記申請の際の添付書面は何でしょうか?

答えは住民票などの添付は不要です。

費用は、登録免許税は1万円かかります。

ただし、辞任登記と同時に申請する場合は、役員変更と同じ区分のため、別途費用はかかりません。

また、住居表示実施の場合は、住居表示実施証明書を添付すれば、登録免許税は別途かかりません。

個人的には、代表取締役などの住所変更登記については、登記簿に記載する以上、住民票の添付を要求すべきだと思っています。

住所変更日も任意の日に登記ができてしまうことにつながるからです。

まとめ

代表取締役などの住所が変わった場合は、速やかに変更登記の申請を行ってください。

登記を懈怠すると過料になる場合もありますので…

今回は
『会社実印はまだ残る?登記申請書類どの書類に何の印鑑を押すのかのまとめ[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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