相続で最初につまずくのは「戸籍集め」だった?司法書士が解説する戸籍の壁と対処法

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに

「相続って、戸籍を集めるだけでしょ?」
そう思っている方が多いのですが、実はこの“戸籍集め”が相続手続きの最初の壁になります。

  • 戸籍がどこにあるかわからない
  • 文字が古くて読めない
  • どこまで集めればいいのか分からない

司法書士として現場に立つ中で、こうした悩みを抱えるご家族にたくさん出会ってきました。

今回は、相続でなぜ戸籍が重要なのか、どこが難しいのか、そしてどう対処すべきかを、司法書士の視点からお話しします。

1. 相続手続きに戸籍が必要な理由

相続が発生すると、まず必要になるのが「誰が相続人なのか」を証明する書類です。

これを明らかにするために使うのが戸籍です。

不動産の名義変更(相続登記)、銀行預金の解約、生命保険の請求——すべての手続きにおいて、相続人を特定する戸籍が必要不可欠なのです。

2. 相続で必要になる戸籍の範囲

よくある誤解として、「亡くなった人の最後の戸籍(除籍謄本)があれば十分」というものがあります。

実際にはそれでは足りません。

相続手続きでは、
✅ 亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍
✅ 転籍があった場合は、転籍前の本籍地の戸籍も必要
✅ 相続人(たとえば子がいない場合の兄弟姉妹など)の戸籍も必要

…つまり、本籍の移動履歴をすべてたどり、すべての戸籍を取り寄せる必要があるのです。

3. 戸籍集めでつまずく3つのポイント

(1)古い戸籍が“くずし字”で読めない

昭和初期や大正時代以前の戸籍は、手書きで読みにくいものが多く、「誰が誰なのか分からない」と戸惑う方が非常に多いです。

(2)本籍地が複数ある

転籍を何度もしていると、戸籍があちこちの自治体に分かれてしまいます。

それぞれの役所に個別に請求しなければならず、手数料や時間もかかります。

(3)知らなかった相続人が見つかる

古い戸籍をたどると、「前妻との間に子がいた」など、家族が知らなかった相続人が判明するケースもあります。

4. 戸籍が揃わないと起こるリスク

戸籍が1通でも不足していると、相続登記も預金の解約も進めることができません。

書類不備として差し戻されるケースも多く、手続きを進めたくても進められない、という状況に陥るのです。

また、相続人の確定ができないまま、遺産分割協議書を作成してしまうと無効になります。

「戸籍の不足」が原因で、相続人同士の信頼関係が崩れてしまうこともあります。

5. 司法書士ができるサポートとは

戸籍の読み解きや取得手続きに不安を感じたら、早めに司法書士に相談することをおすすめします。

司法書士は、

  • 必要な戸籍のリストアップ
  • 本籍地の調査
  • 取得代行
  • 相続関係説明図の作成

などを通じて、複雑な戸籍の整理をプロとしてサポートします。

自分で一から進めようとすると何週間もかかる作業が、司法書士に依頼すればスムーズに完了することもあります。

6. 戸籍でつまずかないために今できる準備

戸籍の取得をスムーズに進めるには、次のような“事前準備”が大切です。

✅ 親の本籍地を確認しておく(運転免許証や通知カードなど)
✅ 生前に家族構成を整理しておく
✅ 転籍の有無や過去の婚姻歴を家族で共有しておく

また、親御さんが元気なうちに、「将来の手続きのために戸籍を取っておいてもいい?」と一声かけておくと、将来の相続手続きが大きく変わります。

まとめ

戸籍は、相続手続きの「最初の一歩」であり、ここでつまずく方が本当に多いのが現実です。

読めない、集まらない、分からない——そんなときこそ、司法書士が力になれます。

「戸籍なんて簡単に取れると思ってた」という方こそ、ぜひ一度ご相談ください。

相続の不安は、第一歩から解消していくことができます。

相続で悩んでいたら、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。