相続でもめる本当の理由とは?司法書士が語る“壊れるのはお金より人間関係”

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに

「相続って、お金持ちの話でしょ?」「うちは財産が少ないから大丈夫」

そう思っていませんか?

司法書士として相続手続きに携わっていると、実は財産の多寡にかかわらず、深刻なトラブルになるケースにたびたび出会います。

しかも、問題の中心は相続税でも遺産分割でもなく、“人間関係”の崩壊なのです。

今回は、現場で見えてきた相続トラブルの実態を司法書士の視点からお伝えします。

相続の相談で多い「本当の悩み」とは

「相続税がかかるのか心配で…」
こう話しながら相談に来られる方は多くいらっしゃいます。

しかし詳しく話を聞いていくと、本当に困っているのは“家族との関係性”です。

たとえば、
「弟に遺産分割の話をしたら、急に連絡が取れなくなった」
「母が『全部あなたに任せる』と言っていたのに、兄が納得していない」

こうした“すれ違い”が、相続の場面で顕在化することが多いのです。

揉める相続の共通点:感情のもつれ

相続は法律や税金の知識だけでは片づけられません。

家族の歴史や、兄弟姉妹の間に残っていた感情のわだかまりが噴き出し、話し合いが進まなくなるケースが非常に多いのです。

たとえば、
・長男ばかりが可愛がられていたという感情
・親の介護を担ってきたのに評価されていないという不満
・昔の借金や言い争いの記憶が残っている

これらの“感情の未整理”が、相続という現実的な問題と交わると、法律では解決できない複雑なトラブルになります。

財産が少ない家ほど「準備不足」が原因に

「うちはお金がないから、相続で揉めることはない」と安心している方ほど、手続きや意思表示が不十分なまま、相続が発生してしまうことがよくあります。

実家の名義が亡くなった親のまま放置されていた、遺言が口約束のままだった、兄弟間で話し合いの場を設けないまま登記手続きが進まなかった…

このように、財産額よりも“準備不足”がトラブルの種になるのです。

相続は“静かに”争いが始まる

「相続トラブル」と聞くと、遺産の奪い合いや裁判のイメージを持つ方も多いでしょう。

しかし実際には、LINEが返ってこない、話し合いが伸ばされる、鍵が渡されないなど、とても静かな“関係の断絶”から始まるケースが多くあります。

問題が表面化したときにはすでに関係がこじれ、調停や弁護士対応が必要になってしまうことも少なくありません。

司法書士ができること:感情と手続きをつなぐ立場から

相続における司法書士の役割は、「登記の専門家」だけではありません。

戸籍の取得や相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の整備など、手続きの入口から出口まで寄り添いながら、
家族の関係性にも配慮したアドバイスができるのが特徴です。

税金の専門家が税理士なら、“関係の調整”と“法的手続き”をサポートできるのが司法書士です。

相続でもめないために、今できる備えとは?

相続でもめないためには、
✅ 家族で事前に話し合っておく
✅ 財産の一覧を作っておく
✅ 遺言書を作成しておく
といった基本的な備えが重要です。

そして何より、「うちは大丈夫」と思わず、少し早めに動き出すこと。

それが家族の未来を守る第一歩になります。

まとめ

相続で一番こわいのは「税金」ではなく「人間関係が壊れること」です。

そのリスクは、財産の大小に関係なく誰にでも起こり得ます。

司法書士として、感情と手続きの両方に寄り添いながら、家族が安心して相続を迎えられるようサポートしていきたい。

そんな思いで、今後もこのブログを通して情報を発信していきます。

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この記事を書いた人

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。