会計限定監査役 職責を果たさないと…
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
取締役会設置会社では、監査役の設置が原則義務付けられています。
平成18年以前の株式会社で、未だ家族経営でもある状況で取締役会設置会社のままの会社も散見され、監査役も置かれたままになっています。
先日会計限定監査役に関する東京高裁の判例がでましたので、紹介します。
会計限定監査役の果たすべき役割とは?
役割を果たさないと責任問題に発展?
先日、東京高裁で「会計限定監査役の任務懈怠と会社に対する損害賠償責任」に関する判例が出ました。
この事案では、取締役会及び会計限定監査役を設置している会社で、その経理担当職員の横領行為によって生じた株式会社の損害について、会計限定監査役の任務懈怠による損害賠償責任が問われました。
会計限定監査役の任務懈怠責任の有無については、善管注意義務の水準に照らしてその義務違反が判断されることになります。
なので、事案によっては、会計限定監査役も職責による賠償責任を負わないといけないことを示しています。
監査役については、資格などは要求されていないため、人数あわせのために、名前だけ貸してほしいとか言われることが多々あります。
しかし、会社に何か問題があった場合、自分は名前を貸しただけだという理由で責任は免れないことを意図していることをまずは知ってください。
この判例で教えてくれたこと 身の丈に合った会社経営を!
平成18年5月に施行された会社法。
従前からあった株式会社は、取締役会設置、監査役設置会社としてスタートしました。
中小零細企業で、取締役会や監査役がきちんと機能しているかどうか、再度確認してみてください。
このブログでも何度も書いていますが、機能していない場合は、取締役会や監査役をなくすということも視野に入れてください。
あと、実際に資本金が1億円以下でずっと続いている会社で、監査役設置会社であるにも関わらず、「会計限定の旨」の登記が抜けている会社も結構あります。
中小零細企業で自社で役員変更登記をしていると「会計限定の旨」の定款の定めの登記を失念する傾向があります。
もう一度自分の会社の登記簿や機関構成を確認する作業をしてください。
中小零細企業で家族経営の場合は取締役会は容易に開けますが、法律の手続に則って行っていますか?
会計限定監査役の役割を果たしていますか?
もう一度見直してください。
まとめ
この判例で教えてくれたことは、中小零細企業であっても、職責を果たさないと賠償責任が生じてしまうこと。
事案ごとによって判断されますが、会社や株主から会社になにか問題があったときに責任が生じてしまうリスクがあることを重々承知してください。
今回は
『会計限定監査役 職責を果たさないと…[小さな会社の企業法務]]』
に関する内容でした。
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