新型コロナウイルスと定時株主総会開催の影響とは?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
現在、新型コロナウイルスの流行で、多くの行事やイベントが中止したり延期したりしております。
人が多く集まるイベントでは感染予防の影響が出ています。
ところで、3月決算の会社で、その後定時株主総会の準備をしなければならない企業も出てきます。
コロナウイルスの影響で総会自体そうすればいいのか気にかける担当者も多いでしょう。
今回は大企業ではなく、中小零細企業での(非公開会社で非取締役会設置会社前提)定時株主総会の開催について書いていきます。
新型コロナウイルスと定時株主総会開催の影響とは?
実際に開催する場所・会社の規模で対応を考える
大企業だと、どこかの会場を手配して総会を開催する必要があります。
まず、中小零細企業の場合、株主構成はどうなっているかを確認してください。
中小零細企業の場合、株主は身内だけの場合が多く、知っている人同士であれば、無理に総会を開催せず、会社法第319条のみなし総会決議を活用することをオススメします。
なお、こちらは、議案に対して株主全員からの同意が必要なので、少数株主が多くいる場合には利用しづらいです。
その場合は、定時総会を開催せざるを得ない状況になります。
ただし、委任状による方法や電話会議システム(スカイプやzoomなど)で対応できればそれで総会の開催を検討してもいいでしょう。
法務省の方針が示された
今回の新型コロナウイルスの件で、定時株主総会の開催について、法務省から指針が発表されています。
中小零細企業にとって大事な部分を紹介します。
1 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて
定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも,通常,天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで,その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではないと考えられます。
したがって,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。なお,会社法は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項),事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。
(法務省ホームページより抜粋)
万が一このまま新型コロナウイルスの影響が響いてしまった場合、定時株主総会が開催できなくても、落ち着いたときに開催することでいい扱いとなります。
問題は役員がこの定時株主総会で任期が満了する場合どうすればいいのか。
原則は、役員の任期は定款の定めに従って、期間満了日の末日をもって任期が切れると解されます。
しかし、新型コロナウイルスが流行してしまい、定時株主総会が開催できないような状況の場合、期間満了日以後に開催される定時株主総会の時まで任期が伸長することも考えられます。
おそらく新型コロナウイルスの流行が長引けば、役員の任期のことについて法務省から公表されると思われるので、それをもとに判断すればいいかと思います。
問題になるのは、本来の定款に定めた期間満了日の末日を持って任期が切れ、その後定時株主総会を開催した場合の退任・就任の記載方法です。
原則のままだと「退任」「就任」と登記しなければならないのですが、「重任」と登記できるかどうか、そこが問題になります。
まとめ
このブログは3月1日現在の情報をもとに書きました。
今後新型コロナウイルスが終息すれば通常通りのスケジュールで定時株主総会を開催すればいいでしょう。
中小零細企業の場合は株主が少ないため、やりやすい方法で開催するのが現実的と言えます。
今回は
『新型コロナウイルスと定時株主総会開催の影響とは?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
小さな会社の企業法務に関するブログはこちらから
取締役会議事録 代表取締役を選んだ場合に取締役が押印する印鑑は何?[小さな会社の企業法務]