東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
最近めっきり減っている登記の一つに
「特例有限会社から株式会社への商号変更」
があります。
本来は特例有限会社も株式会社に移行し、特例有限会社そのものをなくそうとしていたのですが、最近は落ち着いてきた気がします。
ところで特例有限会社のままでいてもいいのか、株式会社に変えたほうがいいのか、私なりに考えてみました。
小さな会社の法務 特例有限会社のままでいくか株式会社に移行するか
特例有限会社のままでいく場合のメリット
特例有限会社のメリットとして
- 決算公告をする必要がない
- 役員の任期の規定がない
- みなし解散制度が適用されない
などがあります。
特例有限会社でいてもいい事例としては、コンパクトビジネスを展開している会社で特段不都合がない場合です。
または、有限会社で浸透している場合にも、株式会社に移行する必要はありません。
特例有限会社のままでいく場合でも検討すべき事項はある
特例有限会社で設立している会社で、未だに監査役が登記されている会社が散見されます。
特例有限会社の監査役の権限は会計監査のみを行います。
実際にあなたの会社で監査役が機能しているのかどうかを確かめてください。
さらに、監査役がいないもしくは死亡しているにもかかわらず、監査役の変更登記をしていない会社もあります。
特例有限会社の場合、監査役をなくすためには、監査役に関する規定を廃止する定款変更決議が必要です。
定款変更に当たるため、株主総会の特別決議となります。
監査役が辞任している場合、後任者が選任されるまでは定款を変えない限り監査役の権限を有します。
もし、本当に監査役がいなければ、速やかに監査役の規定の廃止決議を行い、監査役の退任登記を行ってください。
あと、特例有限会社の監査役は住所が登記事項です。
監査役が機能している場合に、監査役の住所が変わっていなければ速やかに監査役の住所変更登記が必要です。
これは取締役にも当てはまることで、特例有限会社の場合、取締役の住所が登記事項なので、こちらも住所を変えているかどうか確認してください。
特例有限会社から株式会社へ移行すべき場合
特例有限会社で規模を拡大したい場合は、今後のことを考えて株式会社に変えるべきです。
旧商法時代、特例有限会社よりも株式会社のほうが信用されていましたので、もし大企業と取引するときは株式会社に変えることも検討すべきです。
また、特例有限会社のままだと合併の際の存続会社や株式会社の親会社にはなれません。
まずは株式会社に移行し、そのあと合併なり株式交換をするなりします。
逆に合併により特例有限会社が消滅会社となる場合は、株式会社に変える必要はありません。
とにかく、特例有限会社のままで今まで以上に事業規模を大きくしたいのであれば、株式会社化は必須でしょう。
まとめ
特例有限会社のままでいいのは、今までの規模で事業する場合やコンパクトビジネスを展開する場合のみといえるでしょう。
特例有限会社のままでいる場合でも、随時登記事項証明書を取得し、登記事項に変更がないかは確認してください。
今回は
『小さな会社の法務 特例有限会社 そのままがいいのか株式会社にしたほうがいいのか』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
特例有限会社の監査役についてこのブログでも触れました。本当にあなたの会社で監査役が必要なのか、検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくはこちらのブログを御覧ください。
参考書籍
中小企業の戦略的会社法務と登記
今川嘉文 中央経済社 2016-09-24
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特例有限会社の登記Q&A
神崎 満治郎 テイハン 2015-06
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