所有権移転登記と持分全部移転登記は一括申請できるか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
はじめに
今回相続を原因とする所有権移転登記で移転する不動産の対象が全部のものと持分全部となります。
その場合、申請書は「所有権移転」と「何某持分全部移転」と2つの申請書に分けないといけませんか?
当事者が同じ場合は「所有権移転及び何某持分全部移転」を登記の目的として1通の申請書で登記申請ができます。
今回は不動産の登記申請、一括で申請できるか否かを紹介します。
目次
所有権移転登記と持分全部移転登記は一つの申請書でできるか?
不動産登記申請の一括申請の可否
不動産登記申請に際しては、一つの登記の目的ごとに申請することが原則です。
なので、所有権移転登記と抵当権設定登記を同一の申請書で申請することはできません。
大原則として、一括申請できる場合は、以下の場合です。
- 同一管轄
- 同一目的
- 同一原因
- 同一人
所有権移転登記と持分全部移転登記は一括申請できるのか?
先程の一括申請の要件を見ると、「所有権移転登記」と「何某持分全部移転」は同一目的ではないので、一括申請できないと思われます。
しかし、その他の要件を満たしていれば、上記の場合でも一括申請できてしまいます。
私の場合、以下の事例で一括申請をしました。
不動産が土地・建物
土地は、持分4分の1被相続人名義
建物 全部被相続人名義
管轄は同一管轄で、相続による取得する人は同じ
上記の場合ですと、登記の目的は
登記の目的 所有権移転及び何某持分全部移転
原因は
原因 年月日相続」
申請人は
申請人 (被相続人 何某) (持分後記のとおり) A
の振合で記載します。
そして、不動産のところに、持分の記載をして登記申請をしたところ、申請は受理されました。
なので、所有権移転登記と持分全部移転登記の場合でも、一括申請が可能の場合もありますので、確認するといいでしょう。
不動産登記の一括申請は司法書士試験でも出題される
司法書士試験では、一括申請の可否については、択一式でも記述式でも問われます。
特に記述式の場合、「申請件数をなるべく少なくして」というのが問題文に記載されている場合、一括申請の可否を判断しなければなりません。
所有権登記名義人住所変更や抵当権・根抵当権の抹消登記は一括申請できることが多いので、要件を確認しておく必要があります。
実務だと、同一管轄で同一当事者、同一原因であれば、順位番号の異なる抵当権の抹消登記も一括でできてしまいます。
試験でも問われるところなので注意です。
まとめ
要件が揃っていれば、不動産登記の一括申請もできるのですね。
はい、一括申請できる場合とできない場合とを区別する必要があるので注意してください。
今回は
『所有権移転登記と持分全部移転登記は一括申請できるか?』
に関する内容でした。
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参考書籍
不動産登記法〔第2版〕 | ||||
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