ひとり株式会社やスモールビジネスを展開している会社が多い商業登記は?本店移転編
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
株式会社を設立したあと、登記事項に変更が生じると、変更登記をしなければなりません。
私が扱う会社は、スモールビジネスやひとりで会社を設立した人がほとんど。
そこで、会社設立後、どのような登記をすることが多いのか、まとめてみました。
以前、商号変更や目的変更について書きましたが、今回は「本店移転」について書きます。
本店移転編 ひとり株式会社やスモールビジネスを展開している会社が多い商業登記は?
本店移転する場所によって手続きが変わってくる
本店移転をするに際して、どこに移転するかで、実体上の手続きが異なってきます。
大きく分けて3つあります。
- 同じ市区町村内に本店移転するが、定款変更がいらない場合
- 違う市区町村内に本店移転し、定款変更が必要だが、法務局の管轄が同一の場合
- 違う市区町村内に本店移転し、定款変更も必要で、法務局の管轄が異なる場合
本店移転の手続きの方法は?
本店の所在地については、定款の絶対的記載事項です。
あなたが、定款に記載されているところと同じ市区町村内に本店を移転するのであれば、業務執行の範囲内であるので、取締役会(取締役の過半数の一致)で決めることができます。
ただし、定款に本店の具体的所在場所まで記載されている場合には、定款変更が必要となるので、あなたの会社の定款をまずは確認するようにしてください。
一方、本店を他の市区町村内に移転する場合には、定款変更を伴いますので、株主総会の特別決議でまずは定款変更をする必要があります。
定款では、具体的な所在場所までは決めず、取締役会(取締役の一致)、非取締役会設置会社の場合は株主総会で具体的所在場所を決めます。
本店移転の登記申請手続は?
同一管轄区域内に本店移転を申請する場合には、申請書は1通用意すればいいです。
実は、他の市区町村内に本店移転しても、法務局の管轄が同一の地域もありますので、移転先の管轄法務局は必ず確認するようにしてください。
他の市区町村内に本店移転し、新本店所在地が他管轄区域内の法務局にある場合は、旧本店所在地と新本店所在地の登記申請書を2通用意し、旧本店の管轄の法務局に登記の申請をします。
登録免許税は、法務局同一管轄区域内の本店移転の場合は3万円です。
他管轄区域の本店移転の場合は、旧本店所在地分で3万円、新本店所在地分で3万円、合計6万円が必要です。
添付書面は、以下のとおりです。
- 定款変更決議をした場合は株主総会議事録と株主リスト
- 本店の具体的所在地を決議したことを証する取締役会議事録(取締役の一致を証する書面)
あと、他管轄区域内の本店移転の場合には印鑑届書が必要です。
(実印押印と印鑑証明書の添付は不要です)
まとめ
本店移転登記は簡単と言われていますが、定款の定め方と管轄法務局内の本店移転かで手続きが異なりますので注意してください。
意外とややこしい論点が入っています。
今回は
『ひとり株式会社やスモールビジネスを展開している会社が多い商業登記は?本店移転編』
に関する内容でした。
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参考書籍
商業登記ハンドブック第3版 | ||||
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