東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
前回の「あなたの会社、本当に取締役会、監査役必要なの?」のつづき。
このブログを読んだあと、また上記のブログも御覧ください。
このブログを読んで、自分の会社の機関設計見直したいと思ったとき、どのような手続きが必要なのか?
一番興味があるところは登記をするのにどれだけ費用がかかるのか?
その疑問にお答えします!
小さな会社の法務 取締役会、監査役をこの機会になくしたい!手続と費用は?
手続1 定款の見直しが必要になってくる
取締役会と監査役については、会社法になったときに、定款にそれらの旨があるとみなされています。
つまり、定款変更していなくても、定款に記載されていることになります。
なので、取締役会や監査役を廃止するときは、定款変更決議となるので、株主総会の特別決議が必要です。
あと、セットになってくるのが、株式の譲渡制限に関する規定の承認機関の見直し。
取締役会設置会社では承認機関を取締役会にしていることが多いです。
取締役会が廃止される以上、承認機関を株主総会なり代表取締役にする変更も必要です。
取締役会や監査役を廃止すると、定款の中身も従前の内容と大きく異なりますので、この機会に定款全体を見直すことをおすすめします。
大体の会社は会社法になってから定款の見直しをしておらず、旧商法時代の定款内容のままになっているので、この機会に会社法にあった定款にする必要があります。
手続2 役員に関する事項の変更も必要
取締役会設置会社の場合、最低取締役3名、監査役が1名が必要でした。
取締役会と監査役を廃止すると取締役1名以上でよくなります。
まず、監査役についてですが、監査役設置会社を廃止すると、監査役は自動的に任期満了し退任となります。
取締役については、取締役会を廃止したところで自動的に退任とならないので、この機会に人数を減らしたいのであれば、辞任をするしかありません。
ちょうど任期が任期満了で改選時期に当たるのであれば、任期満了し退任することは可能です。
あと、取締役会を廃止するので、定款で代表取締役をどのように選ぶのか決める必要があります。
代表取締役を株主総会で決めるのか、取締役の互選で決めるのか、定款に規定する必要があります。
費用 登記申請にかかる登録免許税
取締役会と監査役をなくす場合に必要となる登記申請は
- 取締役会廃止
- 監査役廃止(会計限定の旨の定めが登記されていればその旨の廃止も登記します)
- 株式譲渡制限に関する規定の変更
- 監査役退任の登記
が最低限必要となります。
登録免許税ですが、
- 取締役会廃止分で3万円
- 監査役等の役員変更登記で1万円(資本金が1億円を超えている場合は3万円)
- 監査役の廃止、株式譲渡制限に関する規定の変更分で1万円
なので、最低でも7万円かかります。
あとは司法書士に登記を依頼すればプラス報酬分が必要です。
私はこの機会に定款も全部見直しをしたほうがいいと思うので、司法書士に依頼する場合は定款見直し費用もかかると思ってください。
まとめ
中小零細企業で家族経営の場合、取締役会・監査役設置会社である場合は多いです。
多くの会社は費用がかかるから、会社の実体に合わない状態が続いてます。
今はコンプライアンスがうるさく、実態に合わない会社は見向きもされない時代が来るでしょう。
費用がかかってもしょうがないと思うので、この機会に定款内容も含めて見直すことをおすすめします。
今回は
『小さな会社の法務 取締役会、監査役をこの機会になくしたい!手続と費用は?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
最初にも書きましたが、こちらのブログも合わせて御覧ください。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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中小企業の戦略的会社法務と登記
今川嘉文 中央経済社 2016-09-24
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