【相続手続きで迷ったら】司法書士と行政書士、それぞれの役割と選び方を徹底解説!

こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。

はじめに

「身近な人が亡くなり、相続が始まったけれど、何から手をつけていいか分からない…」 「相続手続きを専門家に頼みたいけど、司法書士と行政書士、どっちに相談すればいいの?」

相続が始まった際、このような疑問や不安を抱える方は少なくありません。

特に、司法書士と行政書士の違いが分からず、どちらに相談すべきか迷ってしまうという声をよく聞きます。

この記事では、私たち司法書士がどのような専門家なのかをご説明しつつ、行政書士との違い、そして相続手続きにおいてそれぞれの専門家が何をしてくれるのかを、具体的な事例を交えて分かりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたの相続手続きにぴったりの専門家が見つかるはずです。

司法書士ってどんな人?「登記」と「書類作成」のプロ

「司法書士」という名前は知っていても、具体的な仕事内容は意外と知られていないかもしれませんね。

簡単に言うと、司法書士は「登記」と「裁判所に提出する書類作成」の専門家です。

皆さんの大切な財産や権利を守り、法的な手続きをスムーズに進める「街の法律家」なんです。

司法書士の主な仕事

  1. 不動産登記(名義変更のプロ)
    土地や建物などの不動産の持ち主(名義)が変わった時に、法務局でその情報を記録する手続きを代行します。

    • 相続登記: 不動産を相続した際に、故人から相続人へ名義を変える手続きです。

    • 売買による登記: 不動産を売買した際の名義変更。

    • 住宅ローン完済時の登記: ローンを完済した際に抵当権(担保)を抹消する手続き。

  2. 商業登記(会社の情報記録のプロ)
    会社を設立する時や、役員、本店所在地、会社名などが変わった時に、その情報を法務局に記録する手続きを代行します。

  3. 裁判所提出書類の作成(裁判をサポートするプロ)
    裁判所に提出する書類(自己破産や成年後見の申立書など)の作成をサポートします。

    弁護士のように代理人として裁判に出ることはできませんが(簡裁訴訟代理をもっていれば簡易裁判所については弁護士と同様に裁判に出ることは可能です)、書類作成を通じて手続きを助けます。

  4. 成年後見人(財産管理のプロ) 認知症などで判断能力が不十分になった方の財産を守り、生活を支援する「成年後見人」として、裁判所から選ばれることもあります。

相続手続きで特に重要!司法書士の役割

相続が始まった時、司法書士は具体的に何をしてくれるのでしょうか?

1. 相続人調査・財産調査のサポート

相続手続きの第一歩は、「誰が相続人なのか」「どんな財産があるのか」を正確に把握することです。

  • 戸籍謄本の収集: 故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を役所から取り寄せ、法的に誰が相続人になるかを特定します。これは非常に複雑で手間のかかる作業です。

  • 財産リストの作成: 預貯金、不動産、株式、保険、借金など、全ての財産をリストアップするお手伝いをします。

2. 不動産の相続登記(名義変更)

これが、相続手続きにおける司法書士の最も重要な役割であり、独占業務です。

相続した不動産は、そのままにしておくと名義が故人のままになってしまいます。

これを法務局で相続人の方の名義に変更する手続きが「相続登記」です。

  • なぜ相続登記が必要なの?:

    • 売却や担保設定ができない: 名義が故人のままだと、その不動産を売ったり、担保に入れてお金を借りたりできません。

    • 所有者不明土地問題: 相続登記がされない不動産が増え、所有者が分からなくなり社会問題になっています。

    • 義務化と過料のリスク: 2024年4月1日からは、相続登記が義務化されます。正当な理由なく放置すると、過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。

    • 次世代への負担: 相続登記をせずに次の世代に引き継ぐと、さらに相続人が増えて手続きが複雑になり、子や孫に大きな負担をかけます。

私たち司法書士は、この複雑な相続登記を代行し、皆さんの大切な不動産を法的に確実に引き継げるようサポートします。

3. 預貯金や株式などの名義変更・解約手続き

銀行預金や証券口座、保険金などの名義変更や解約手続きも、司法書士がサポートできます。

金融機関ごとに異なる必要書類や手続きの流れを把握しており、スムーズな手続きを代行します。

4. 遺言書の作成支援・遺言執行

生前の相続対策として重要な遺言書の作成をサポートします。

また、遺言書の内容を故人の意思通りに実現する「遺言執行者」として、相続手続き全体を代行することも可能です。

混同しやすい!「行政書士」の役割と違い

では、行政書士は相続に関して何をしてくれるのでしょうか?

行政書士の主な仕事

行政書士は、官公署(役所)に提出する書類の作成や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を専門としています。

相続に関して言えば、主に以下の業務を行います。

  • 遺産分割協議書の作成: 相続人全員で話し合い、誰がどの財産を相続するか決めた内容を、法的な効力を持つ書面にまとめるのが主な役割です。

  • 相続関係説明図の作成: 戸籍謄本を基に、誰が相続人なのかを図として分かりやすくまとめる書類を作成します。

司法書士と行政書士、ここが違う!

項目 司法書士 行政書士
得意分野 登記(不動産・会社)、裁判所提出書類作成 役所提出書類、契約書作成
相続業務 不動産相続登記(独占業務)、遺産整理業務、遺言書作成支援、遺言執行、家族信託 遺産分割協議書作成、相続関係説明図作成、預貯金・株式等の名義変更、家族信託
裁判関係

裁判所提出書類作成(代理人ではない)

裁判所への書類作成は行いません
訴訟代理 簡易裁判所での一部訴訟代理権あり なし

最も大きな違いは、「不動産の相続登記」ができるのは司法書士(弁護士)だけという点です。

また、相続人同士で財産の分け方について意見が対立し、揉め事になってしまうと、それは弁護士の専門分野になります。

その場合、家庭裁判所での調停や訴訟に発展する可能性も出てくるため、時間も費用も精神的な負担も大きくなってしまいます。

そうなる前に、専門家に相談することが大切です。

結局、相続手続きは誰に頼むべき?選び方のポイント

 

相続手続きは、故人の財産の種類や相続人の状況によって、必要な手続きや専門家が異なります。

 

こんな方はまず「司法書士」へ

 

  • 不動産を相続した方: 不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の独占業務です。

  • 相続人調査や財産調査から丸ごと任せたい方: 複雑な戸籍収集や金融機関とのやり取りを代行します。

  • 預貯金や株式の名義変更もまとめて依頼したい方: 不動産以外の手続きも一括でサポートできます。

  • 遺言書を作成したい、遺言執行をお願いしたい方: 確実な遺言書の作成や実行をサポートします。

 

こんな方はまず「行政書士」へ(その後、司法書士へ連携することも)

 

  • 遺産分割協議書の作成だけを依頼したい方: 相続人の間で話し合いがまとまっている場合、行政書士に依頼できます。

  • ただし、不動産がある場合は、最終的に相続登記が必要になるため、行政書士が作成した遺産分割協議書を持って司法書士に依頼するか、最初から司法書士に一括で依頼する方がスムーズです。

 

専門家は連携している!

相続税の申告が必要な場合は税理士と、相続人同士の紛争が起きてしまった場合は弁護士と、それぞれ連携して業務を行っています。

まずは、相続財産の中に不動産があるかどうかをご確認ください。

不動産があれば、必ず司法書士の出番があります。


相続手続きは早めの相談がカギ!

相続手続きは、故人の死後10ヶ月以内という相続税の申告期限をはじめ、様々な期限が設けられています。

また、2024年4月1日からは相続登記も義務化されるため、放置しておくデメリットは増すばかりです。

「何から手をつけていいか分からない」「手続きが複雑で面倒」と感じたら、無理に一人で抱え込まず、早めに専門家にご相談ください。

私たち司法書士は、皆様が安心して相続手続きを進められるよう、全力でサポートいたします。

ご自身の状況に合わせて、最適な専門家を選び、円満な相続を実現しましょう。

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この記事を書いた人

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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