相続土地国庫帰属制度 簡単に相続した土地を手放すことはできるのか?江戸川区の司法書士が解説します

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

相続登記義務化はいいが、自分が相続する土地、正直いらないので、手放したい。

そのように思っている人は多いかもしれません。

原則は土地を手放すということはできません。

ただ、今後一定要件で相続土地国庫帰属制度が創設され、土地を手放せるチャンスができる予定です。

令和4年8月5日現在の情報をもとに紹介していきます。

相続土地国庫帰属制度の制度趣旨とは?

自分が相続で取得した土地、たまたま相続が絡んで名義人となったがいらないという方もいるでしょう。

さらに最近では所有者不明土地問題が表面化し、国としても大きな問題となっています。

そこで、相続又は贈与により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度ができることになりました。

これが「相続土地国庫帰属制度」です。

ただし、土地を国庫に手放す制度は一定の要件が必要で、さらに負担金が必要となるため、個人的には土地を手放すときはハードルが高くなると思っています。

相続土地国庫帰属制度は誰が申請することができるのか?

誰もが土地を国庫に帰属させることを申請できるわけではありません。

要件としては、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限定)により土地の所有権又は共有持分を取得した者に限定されます。

なので「相続」が絡まないと原則相続土地国庫帰属制度は利用できないと思ってください。

単独所有だけでなく、相続を原因として共有で取得したときもこの制度は利用できます。

相続土地国庫帰属制度で対象となる土地の要件は?

何がなんでも土地ならば、相続土地国庫帰属制度が利用できるわけではありません。

主に以下のような土地の場合は承認されません。

  • 建物がある土地
  • 担保権又は使用収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 通路その他の他人による使用が予定されている土地で政令で定めるものが含まれる土地

まずは、現状建物がある土地については、この制度が利用できないということは知っておくことが重要です。

なので、何でも相続土地国庫帰属制度は利用できるわけではないということを知っておいてください。

相続土地国庫を利用する場合、負担金はどれだけになるのか?

ただで土地を国庫に帰属させることはできず、政令で定めた相当な負担金を納める必要があります。

資料だと、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することになります。

参考として、現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、粗放的な管理で足りる原野は約20万円、市街地の宅地(200平方メートル)の場合は80万円となっています。

地目、面積、周辺環境等の実情に応じて対応することになっており、詳細は政令で規定することになっています。

なので、最低でも20万円の納付金が必要になると思ってください。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、あらゆる土地で利用できるわけではない、負担金が必要だということを今の段階では理解しておくといいです。

今回は法務省から公表された資料を参考にブログを書きました。

相続土地国庫帰属制度」(法務省資料より)

今回は
『相続土地国庫帰属制度 簡単に相続した土地を手放すことはできるのか?江戸川区の司法書士が解説します』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。