司法書士実務雑感 本店所在地の表記はどうすればいいのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社の本店は定款の絶対的記載事項であり、登記簿にも記載されます。
ところで、本店の表記ですが、どうすればいいのかという質問を時々受けます。
今回は、「本店」について紹介します。
司法書士実務雑感 本店所在地の表記はどうすればいいのか?
「本店」とはなにか?
本店とは文字通り、会社の事業を行う主たる営業所のことをいいます。
「本店」は、定款に記載しなければなりません。
ただ、定款では「本店所在地」は、本店の所在する最小行政区画を記載します。
つまり、市町村(東京都の特別区においては区)その他これに準ずる地域を指すと言われています。
なので、定款には以下のように記載することが多いです。
(本店の所在地)
第○条 当会社は、本店を東京都江戸川区に置く。
別に具体的所在場所を定款に記載してもいいですが、ただ、同一市区町村内において本店移転する場合も定款変更が必要なので注意が必要です。
また、「会社法定感事例集第4版」には、以下の記載があります。
そうすると、定款に必要な事項を書けば「発起人の決定書」は添付書面にならないものと解されます。
また、総則には本店の所在地を市区町村まで記載し、附則に設立時の本店所在場所として番地まで記載する例もあり、この例によると設立後、市区町村内で本店の移転の必要が生じたときに定款変更を要しないと解されている。(上記101頁)
本店の所在地の表記をどうするか(簡易表記にするか正式に表記するか)
本店の表記をどうするかが意外と問題となっています。
1つ目のもんだいとして「○丁目○番○号」とするか「○-○-○」とかんたん表記するのか。
前者でも後者でも登記申請は受理されますが、最近は後者が増えている気がします。
個人的には、登記簿に記載されるのは正確な住所を記載すべきであると考えているので「○丁目○番○号」にすべきではないかと思っています。
なお、「○-○-○」で本店登記がされていて、会社で不動産を購入した場合、不動産の登記簿には「○-○-○」で表記されます。
他の方が正確な住所表記しているのに、会社だけ簡略化された住所で記載されているとなんだか違和感を感じます。
本店の所在地の表記をどうするか(ビル名や部屋番号・階数を入れるか)
2つ目にビル名や部屋番号、階数を入れるかどうか。
ビル名を入れている事例もありますが、オーナーチェンジしてビル名が変わることも多々あります。
その場合は、本店変更登記が別途必要になってしまうと思われます。
また部屋番号まで登記した場合、例えば3階から2階に引っ越した場合、本店移転登記が必要となります。
ビル名を入れるか部屋番号まで入れるかは会社の方針にもよりますが、登記したことで後日変更登記が必要になることもあることは覚えておくといいでしょう。
まとめ
本店所在地については正確な表記をすべきではないかと思っています。
登記簿にも記載されますので、第三者が見たときにどう思うのかは意識されたほうがいいでしょう。
今回は
『司法書士実務雑感 本店所在地の表記はどうすればいいのか?』
に関する内容でした。
参考動画
本店移転に関する動画がありますので参考にしていただけると嬉しいです。
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参考書籍
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