「所有権登記名義人住所変更登記 自分でするには?」(関連動画)
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近立て続けに抵当権抹消登記の依頼を受けました。
登記簿を見てみると、所有者は会社名義。
会社の登記事項証明書を取り寄せてみて見ると、甲区所有者の本店所在地と現在の本店所在地が異なっている。
その場合、本店移転登記をしなくても抵当権の抹消登記はできるのでしょうか?
今回は、司法書士試験でも論点になるところでもあるので、受験生にも参考になる内容です。
抵当権抹消登記 会社所有者の不動産で本店移転していたらいきなり本店移転登記をしなくても抹消できるのか?
甲区・乙区だと本店移転の表示変更登記が必要かどうか異なってくるのか?
まず、不動産所有者の会社で本店移転が抵当権設定後にした時、登記名義人表示変更登記が必要か。
結論は、所有者である会社の本店移転の変更登記をしてからでないと抹消登記は受理されません。
これは、甲区の表示は正式なものを表記する必要があるため、現在の正式な本店所在地を公示しておく必要があるからです。
これは、個人の住所が変わっている場合に住所変更登記をしないといけないのと理屈は同じです。
一方で、乙区の抵当権者が本店の所在地が変わっていた場合は抵当権者の表示変更登記はしないといけないのでしょうか。
結論は、乙区の抵当権者の場合は、本店変更登記を省略して、抵当権の抹消登記をすることが許されます。
これは、どちらにしても消える運命にあるので、本店変更登記をする実益がないからということで先例で認められています。
また、債務者である会社の本店が変わっていた場合に本店変更を原因とする抵当権の変更登記が必要か?
こちらも本店変更に伴う抵当権の変更登記をする必要はありません。
こちらも抵当権を抹消するので、債務者の本店変更登記をする実益がないからです。
なお、抵当権抹消登記を登記申請に際しては、抵当権者の表示に変更がある場合、変更したことを証する登記事項証明書が必要です。
ただし、会社法人等番号が付されている法人の場合で、登記事項証明書から変更の経緯が分かる場合は、申請書に「会社法人等番号」を記載すれば、履歴事項全部証明書の添付を省略することができます。
更に論点があり、受験生や実務で気をつけたいのは、抵当権者が合併しているような場合です。
一時期銀行再編や信用金庫が合併することがありました。
抵当権者が消滅会社である場合、合併移転の登記が必要かという問題があり、結論は必要ということになります。
消滅会社から存続会社への合併を原因とする抵当権の移転登記を申請してからでないと登記申請は受理されません。
登録免許税が債権額の0.1%かかります。
ただ、これは存続会社の銀行が費用を持つので、担保権者が負担することはありません。
所有権登記名義人本店変更登記の手続方法は?
甲区所有者が法人で、抵当権設定後に本店移転していた場合、抵当権抹消登記に際して「所有権登記名義人本店変更登記」が必要になります。
登録免許税は不動産1個につき1,000円かかります。
添付書面は履歴事項全部証明書です。
ただし、不動産登記に際して「会社法人等番号」が各会社に割り振られており、そちらで変更の経緯が分かる場合は履歴事項全部証明書は添付する必要がありません。
となると、自分で登記申請する場合、申請書に会社法人等番号を記載すれば、添付書面はないことになります。
まとめ
意外と抵当権設定後に本店移転をしている会社が多くあります。
不動産の登記名義人住所変更登記にはこのブログを書いている段階では変更してすぐに不動産登記をしないといけないという義務はありません。
ただ、不動産の本店移転の表示変更登記は忘れがちなので、早めに対処したほうがいいです。
今回は
『抵当権抹消登記 会社所有者の不動産で本店移転していたらいきなり本店移転登記をしなくても抹消できるのか?』
に関する内容でした。
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