特例有限会社でも定時株主総会は必要か?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
特例有限会社でも定時株主総会は開催しなければなりませんか?
特例有限会社でも株式会社の一形態であるし、法人税の申告もありますから、毎年開催しなければなりません。
定時株主総会で、計算書類とかを承認する必要があるからです。
特例有限会社でも株式会社と同じである以上、定時株主総会を開くことが必要です。
今回は、特例有限会社の定時総会について書いていきます。
定時株主総会を開催する必要性
特例有限会社は原則株式会社と同じ扱いとなります。
そのため、定時株主総会は事業年度終了後3ヶ月以内に行う必要があります。
ただし、法人税の申告がある関係で、2ヶ月以内に行うのがほとんどです。
ただし、特例有限会社の株主総会について、適用されない会社法の規定がありますので、注意してください。
(特例有限会社の登記Q&A増補・改訂版 テイハン27ページより抜粋)
会社法297条(株主による株主総会招集の請求)
会社法301条(株主総会参考書類および議決権行使書面の交付等)
会社法302条(株主総会参考書類および議決権行使書面の交付等)
会社法303条(株主提案権)
会社法304条(株主提案権)
会社法305条(株主提案権)
会社法306条(株主総会の招集手続等に関する検査薬の選任)
会社法307条(裁判所による株主総会招集等の決定)
以上が特例有限会社の株主総会について、適用されない会社法の規定となります。
なので、株主全員の同意があれば、招集手続の省略は可能ですし、定款の規定で招集手続期間を短くすることもできます。
ひとり会社の場合は会社法第319条のみなし総会で行うのがいいでしょう。
特例有限会社で気をつけないといけないこと 特別決議
特例有限会社の場合でも定款変更決議などをする必要も出てきます。
定款変更などの場合は、株主総会の特別決議を要するものがあります。
気をつけていただきたいのは、特例有限会社の株主総会での特別決議の要件。
ひとり会社であれば神経質になる必要はありませんが、株主が複数いると注意が必要です。
特別決議の要件は、「総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要」になります。
なので、株主に相続が発生していると、株式が分散し、株主増加や議決権の75%の要件を満たせなくなるというリスクが生じてきます。
これを定款変更で特例有限会社の特別決議の要件を株式会社の株主総会の特別決議の要件に緩和することはできません。
もし、株主が分散しそうなリスクが有るのであれば、株式会社に組織変更するなりの対応は必要かもしれません。
特例有限会社でもみなし総会決議の活用を!
株主が1名しかいない場合など、わざわざ総会を開く必要がないこともあるでしょう。
その場合は、会社法第319条のみなし総会制度の活用も検討してください。
特例有限会社でも利用することが可能なので、株主が1名とか少人数で株主が身内だけとかという場合には「みなし総会」を活用できます。
取締役であるあなたが提案し、株主であるあなたが同意すればいいだけで、あとは会社法施行規則に基づいて議事録を作成して保管すればいいので、比較的容易に行うことが可能です。
特例有限会社でも定款の見直しを!
定款を融資のために金融機関から求められたとき、設立当初のままのものではありませんか?
平成18年5月1日から会社法が施行され、特例有限会社でも、みなし規定などかなり変更点が生じています。
定時株主総会は毎年開催しなければならない以上、定款もその時期に合わせて見直しされることをおすすめします。
まとめ
特例有限会社でも定時株主総会は毎年開催しなければいけないのですね。
はい、そのとおりです。
特例有限会社も株式会社と同じだと思ってください!
今回は
『特例有限会社でも定時株主総会は必要か?注意しないといけないことは?』
に関する内容でした。
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参考書籍
特例有限会社の登記Q&A増補・改訂版 | ||||
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