取締役会設置会社の取締役会議事録 代表取締役を選定した場合に取締役が押印する印鑑は何?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
平成18年から前に存在している株式会社
意外と取締役会を置いている会社が結構あります。
中小零細企業の取締役会設置会社の経営者から以下の質問を受けました。
「代表取締役をしていた取締役が辞任した。新たに取締役会で代表取締役を決める場合出席者は実印を押印しなければならないと聞きました。本当でしょうか?」
はい、新たに代表者を選ぶ際には、出席取締役や監査役の実印を押印する必要がある場合があります。
代表取締役を選んだときの取締役会議事録に押印する印鑑について今回解説します。
代表取締役兼取締役が辞任した場合、議事録は何を押印するか?
取締役会に出席取締役の実印を押印する場合とは?
取締役会を開催したら、取締役会議事録を作成します。
取締役会設置会社では原則、代表取締役は取締役会で選びます。(定款で代表取締役を株主総会で選定すると定めることも可能です)
取締役会議事録には出席した取締役が記名押印する必要があります。
監査役は会計限定監査役は取締役会に出席義務はありませんが、出席した場合は監査役も記名押印する必要があります。
ただ、中小零細企業の監査役で会計限定監査役は基本、取締役会に出席していないことが多いです。
さて、取締役会議事録に押印する印鑑に注意が必要です。
原則は、代表取締役を選んだ場合、取締役会議事録には出席した取締役(及び監査役)は個人実印を押印し、登記申請時には印鑑証明書(3ヶ月以内)を用意しなければなりません。
まずは代表取締役を選んだ場合の取締役会議事録に押印する印鑑についての原則を知ってください。
出席役員が全員取締役会議事録に実印を押印しないといけない場合の例
代表取締役であった者が退任したり、亡くなったりして取締役会には出席できない場合、代表取締役が会社実印を押印することは不可能です。
なので、取締役会で代表取締役選定決議を行った場合、議事録には出席取締役及び監査役全員が実印を押印し、個人の印鑑証明書を添付する必要があります。
出席取締役がひとりでも実印を押印しなかったりした場合、登記申請は受理されません。
なお、代表取締役の就任承諾書には、代表取締役が実印押印することはいうまでもありません。
取締役会議事録に出席役員全員が実印を押印しなくてもいい場合がある(例外)
原則は代表取締役を選ぶ際の取締役会議事録には、出席役員は全員実印を押印する必要があります。
しかし、議事録に全員実印を押す必要がない場合が2つあります。
- 代表取締役で同じ人が再任され、再任された者が議事録に法務局に提出した同じ印鑑を押印した場合
- 代表取締役を交代する場合、前代表取締役が取締役会に出席して、その者が法務局に提出した同じ印鑑を押印した場合
2についての具体例を説明します。
代表取締役は辞めるけれど、引続き取締役として残る場合があります。
例えば、取締役A・B・Cがいて、代表取締役がAである取締役会設置会社で、Aが代表取締役を辞めて平取締役となり、Bが代表取締役になる場合です。
この場合、取締役会で代表取締役Bを選び、議事録にA・B・Cが押印することになります。
Aは取締役会当時会社実印を法務局に提出している会社実印で押印すれば、B、Cは認印で構いません。
ただ、Bは、代表取締役就任にあたり、就任承諾書に実印を押印する必要があるので、就任承諾書を議事録援用することもあるので、取締役会議事録には実印を押印すべきです。
まとめ
取締役会議事録に実印を押印しなければならない場合は、現在の代表取締役が会社実印を押印できない場合です。
この趣旨は、取締役会で代表取締役をきちんと選任しているかを担保するために出席役員全員から実印を押印することを主眼としています。
取締役会設置会社の場合は、以上の点に注意して議事録に押印をするようにしてください。
今回は
『取締役会設置会社の取締役会議事録 代表取締役を選定した場合に取締役が押印する印鑑は何?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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