東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
司法書士の金子登志雄先生のブログで
「互選又は株主総会の決議により」
というタイトルで代表取締役の選び方の論点が紹介されていました。
今後定款で取締役会非設置会社の代表取締役の選び方の記載方法を考え直そうというきっかけをいただきました。
今回は「代表取締役の選び方」について書きます。
取締役非設置会社の代表取締役はどのように決めるのか?
そもそも取締役会非設置会社の代表取締役の選び方は?
このブログでも取締役会非設置会社の代表取締役の選び方(選定方法)は何度か紹介しています。
会社法349条で、代表取締役の選定方法として
- 定款に直接代表取締役の氏名を記載する
- 株主総会の決議
- 定款の規定に基づき取締役の互選で定める
方法が記載されています。
会社法349条の規定は代表取締役の選び方を一つに固定してしまうのか?
会社法349条の規定は上記3つの方法により定めることが「できる」となっています。
これは、「3つの方法にのどれかに固定する意味ではない」と金子先生のブログでは書かれています。
となると、代表取締役の選び方について定款で「互選もしくは株主総会の決議で定める」としたほうが、中小企業にとっては柔軟に対応できますね。
注意してほしいのは、松井信憲先生の「商業登記ハンドブック」によると、「定める」と記載するとその方法でしか代表取締役を選べなくなります。
「互選により定める」とした場合は株主総会では選べなくなるので、「株主総会」と「互選」両方記載したほうがいいですね。
こういうのは定款雛形集には載っていない事項なので、非常に参考になります。
代表取締役を選んだ際の登記手続は?
定款の規定に基づき互選で代表取締役を選んだ場合から。
まず。代表取締役を選んだ書面として取締役の互選書が必要です。
さらに定款も必要になります。
互選書には互選に関わった取締役が実印を押印し、取締役それぞれの印鑑証明書が必要です。
さらに取締役と代表取締役の地位が分化しているため、就任承諾書が必要です。
これには実印押印までは求められていません。
一方株主総会で代表取締役を選んだ場合、株主総会議事録が必要です。
株主総会には議長及び出席した取締役が実印を押印し各々の印鑑証明書が必要です。
なお、株主総会で代表取締役を選んだ場合、代表取締役と取締役の地位が分化していないため、別途就任承諾書の添付が不要です。
また、定款の添付もいりません。
まとめ
取締役会非設置会社の代表取締役の選び方次第で、添付書面が変わります。
さらに代表取締役の地位のみを辞任する際も手続きが変わります。
やっぱり役員変更登記手続は意外とややこしいですね・・・
今回は
『商業登記 取締役非設置会社の代表取締役はどのように決めるのか?だから役員変更登記はややこしい?』
に関する内容でした。
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