司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一 東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
取締役の就任承諾書、代表取締役の就任承諾書や辞任届に住所の記載が必要か？
先日、東京法務局法人登記部門の登記官の話で上記の内容が話題になりました。
このブログでも「取締役の就任承諾書に住所記載を要するか」というテーマで書いていますが、改めて紹介します。
商業登記 取締役・代表取締役の就任承諾書や辞任届に住所の記載は必要か？
取締役の就任承諾書には住所記載は必要か？
取締役会設置会社の取締役の就任の際に添付する就任承諾書には、住所の記載を要することに異論はありません。
問題は取締役会非設置会社の取締役の就任の際の就任承諾書に取締役個人の住所の記載を要するか？
これについては就任承諾書に実印を押印し、印鑑証明書も添付するのだから、取締役が実在するのが明らかになるから、住所記載までは不要でないかという見解がありました。
しかし、法務局側はそうは解してなく、取締役の就任の際の就任承諾書には、取締役会であろうと取締役会非設置会社であろうと必ず住所記載を要するとの見解に立っています。
なので、取締役が新たに就任する際の就任承諾書には住所記載を要することに注意してください。
なお、株主総会議事録で就任承諾した旨の記載があれば、就任承諾書につき株主総会議事録を援用することができます。
その際は、議事録に取締役の住所を記載する必要があるので注意が必要です。
株主総会議事録は、株主や債権者から閲覧請求があれば閲覧可能です。
なので、個人情報の観点から、なるべく就任承諾書を用意したほうがいいでしょう。
代表取締役の就任承諾書には住所記載は必要か？
代表取締役の就任承諾書に住所記載が必要だとして、とある法務局で補正するよう要請があったようです。
しかし、就任承諾書に住所の記載を要するのはあくまで「取締役の選任」の場合であって、代表取締役の場合には当てはまりません。
よって、代表取締役の新任の就任承諾書については住所の記載まで要求されていません。
ただ、注意しないといけないのは取締役と代表取締役両方選任され、就任承諾書に「取締役及び代表取締役を選任され就任を承諾した」となっている場合です。
こちらは、取締役の就任承諾書も兼ねているため、住所の記載がないと補正の対象となるので注意が必要です。
できれば就任承諾書を取締役用、代表取締役用と２つに分けるといいでしょう。
代表取締役の辞任届には住所記載を要するか？
代表取締役の辞任届には、住所記載は要件とはなっていません。
よって、辞任届に住所の記載がなくても登記は受理されます。
注意なのは代表取締役の辞任届に住所が記載してある場合で登記事項証明書に記載してある住所と一致していない場合。
私見では、代表取締役の住所変更登記をした上で辞任登記をすべきであると解します。
当然ですが、取締役の辞任届に住所の記載がなくても登記は受理されます。
まとめ
取締役の就任の登記については必ず就任承諾書には住所の記載を忘れないようにしてください。
もし、株主総会議事録を就任承諾書として援用する場合には議事録に取締役の住所の記載があるか否かを確認するようにしてください。
今回は
『商業登記 取締役・代表取締役の就任承諾書や辞任届に住所の記載は必要か？』
に関する内容でした。
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