取締役の就任承諾書の住所の記載問題 本当に記載しなければならないのか?

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

以前のブログで、取締役の就任承諾書について、取締役会設置会社でも取締役会非設置会社でも住所の記載は必要だということを書きました。

これについて、取締役会非設置会社の就任承諾書には住所の記載は不要ではないかという疑義があります。

商業登記規則の条文の読み方で結論が変わるのも問題ありかと思います。

取締役の就任承諾書の住所の記載問題 本当に記載しなければならないのか?

住所記載と本人確認証明書が必要な根拠は?

まずは根拠条文を確認しておきましょう。

商業登記規則第61条第7項

設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項において「取締役等」という。)が就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。
ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

読み方とすれば、

  • 就任承諾書には住所記載と本人確認証明書を添付しなければならない
  • 再任の場合には住所記載と本人確認証明書は不要

そこは異議がないと思います。
問題はただし書きがどういう趣旨なのかということです。

印鑑証明書を添付すれば就任承諾書の住所記載は不要?

商業登記規則第61条第7項ただし書きにかいてある条項をあげてみましょう。

・商業登記規則第61条第4項

設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。


・商業登記規則第61条第5項

取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。

 

・商業登記規則第61条第6項

代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

商業登記規則第61条第7項ただし書きは印鑑証明書を添付した場合には、7項本文は適用ないと読むのが自然だと私は思っていました。

東京法務局の考え方は?

しかし、東京法務局では、印鑑証明書を添付する場合であっても就任承諾書には住所記載をするよう要求しています。

私は条文の読み方が間違えている気がしてならないのです。

就任承諾書に住所を記載し、本人確認証明書を添付する趣旨は、本人の実在性を明らかにするためです。

取締役会非設置会社の取締役の就任承諾書には実印押印と印鑑証明書を添付するので、それで取締役が実在していることは明らかなのに、さらに就任承諾書に住所記載を要するのは、変としか言いようがありません。

ただ、会社側からみれば、住所記載をしてもらうことで就任意思のさらなる判断ができるからいいかもしれませんが・・・

いずれにしても、取締役会非設置会社の就任承諾書の住所記載については疑問が残ります。

まとめ

いずれにしても、取締役会非設置会社の取締役の就任承諾書には住所の記載が必要であるということは、まだ疑義が残ります。

しばらくは取締役の就任承諾書には住所記載をお願いし、今後の動きに注目していこうと思います。

今回は
『取締役の就任承諾書の住所の記載問題 本当に記載しなければならないのか?』
に関する内容でした。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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