「会社設立アドバイザー」
東京都江戸川区葛西駅前
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
商業登記規則が改正され、はや5か月。
現場はまだ戸惑っている部分もあります。
実は今回改正された「就任承諾書」について、面白い論点があったので紹介します。
商業登記規則61条5項ただし書きに該当すれば就任承諾書に住所の記載は不要?
・商業登記規則第61条第5項
設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役が就任を承諾したことを証する書面に記載した住所につき市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第61条第2項又は第4項の規定により当該取締役等の印鑑につき市区町村長作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。
ただし書きに注目してみましょう。
印鑑証明書を添付していれば、就任承諾書には住所の記載がいらないのではないかという疑問がでてきます。
登記情報645号6ページによると、印鑑証明書を添付する場合は住所の記載はいらないと書かれています。
その理由としては、新設された商業登記規則61条5項の規定は就任者を特定するために住所記載と本人確認情報が必要だといわれています。
ただ、就任承諾書に実印を押し、印鑑証明書を添付すれば、就任承諾者が実在していることが明らか。
なので、わざわざ就任承諾書に住所の記載はいらないのでないか、というのがこのテーマを書いた立花宏先生の主張です。
実は、商業登記の権威金子先生も似たようなことをブログで紹介しています。
結論はどうなのか?
61条5項ただし書きに該当するような場合は、就任承諾書に住所を記載する必要はないと言えます。
なので、仮に実印と印鑑証明書を添付する登記(取締役会非設置会社の取締役の就任登記)については、就任承諾書や議事録に住所の記載がなくても問題はないと言えます。
ただ、本人確認の手前、就任承諾書等に住所を記載することはあってもいいかと思います。
私の場合は、就任承諾書には住所を記載するようにしています。
経営者の皆様も役員変更登記で就任承諾書を添付するような場合は、住所・氏名は書いておくということを覚えておくといいでしょう。
今回もご覧頂きありがとうございました。
感想を聞かせていただけると嬉しいです。