商業登記 募集株式発行の総数引受契約 株主総会等の承認が必要?

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

先日、同業の司法書士から
「募集株式発行で総数引受契約で行う場合、承認が必要ですよね」
という質問を受けました。

先日募集株式発行の登記をした際、募集事項で「総数引受契約で行う」旨を記載して登記申請していました。

総数引受契約で募集株式発行を行う場合、どの点に注意すればいいのでしょうか?

商業登記 募集株式発行の総数引受契約 株主総会等の承認が必要?

募集株式の総数引受契約の手続きの流れは?

募集株式の発行の流れは
「募集決議→申込み→割当て→払込み」
となります。

総数引受契約の場合「申込み+承諾」で成立し、上記の「申込み→割当て」の部分を省略できてしまいます。

となると譲渡制限株式発行会社の場合、会社にとって好ましくない者が入ってきたり、持株比率が変わってしまい、株主に影響が出る可能性があり、問題となりました。

非公開会社の募集株式発行で総数引受契約をする際の注意点

平成27年5月施行の会社法で、非公開会社の募集株式発行で総数引受契約を行う場合は以下の点に留意しなければならなくなりました。

募集株式の申込みと割当てについて、総数引受契約を締結する場合には適用しない

ただ、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によって、総数引受契約の承認を受ける必要がある。ただし、定款に別段の定めがある場合はこの限りでない。

会社法第205条に第2項が追加され、募集株式が譲渡制限株式である場合で総数引受契約を行う場合には、株主総会もしくは取締役会で総数引受契約の承認決議が必要になりました。

実務での対応はどうすればいいか?

まず取締役会非設置会社の場合、募集株式発行の募集事項の決定は株主総会で行います。

総数引受契約で行う場合、株主総会の決議で行うため、取締役会非設置会社の場合は負担は少ないと思われます。

一方、非公開会社の取締役会設置会社の場合、株主総会で募集事項を決議し、総数引受契約の承認については取締役会で行う必要があります。

となると、非公開会社の取締役会設置会社で総数引受契約を行う場合は、登記申請の際、別途取締役会議事録を添付する必要があります。

しかし、定款に別段の定めがあれば取締役会設置会社でも株主総会で行うことが可能となります。

その方法については、「平成27年施行改正会社法と商業登記の最新実務論点」(金子登志雄著 中央経済社)に詳しく載っていますので、そちらに譲ります。

取締役会設置会社で総数引受契約を採用しなくても、取締役会で割当てに関する決議が必要となるため、どちらを採用するかは、会社の実情に応じて考える必要がありそうです。

私の場合、募集株式発行は取締役会非設置会社である場合がほとんどであるため、株主総会で募集事項決定の決議の際に割当て方法として「総数引受契約による」旨記載し、承認してもらう方法がほとんどです。

まとめ

募集株式発行の際で総数引受契約で行う場合は、総数引受契約に関する承認決議が必要であることに注意が必要です。

さらに非公開会社の取締役会設置会社で総数引受契約をする場合には、手続きの仕方を工夫すれば、取締役会の承認を得ないでもできるので、考慮しておくといいでしょう。

今回は
『商業登記 募集株式発行の総数引受契約 株主総会等の承認が必要?』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
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