中小零細企業の代表取締役が変わる場合の手続きを教えて下さい!
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
3月に事業年度が終わる会社で、今年が役員改選時期にあたる会社も多いでしょう。
中小零細企業の場合、代替わりで代表取締役が変わるということもあります。
今回は、承継で代表取締役が変わる場合にスポットをあてて書いていきます。
中小零細企業の代表取締役が変わる場合の手続きを教えて下さい!
代表取締役の選び方は?
代表取締役を変える場合で多いのは、事業承継が絡む場合。
中小零細企業の場合、承継者がすでに取締役となっている場合が多いです。
現場を見せることで、会社の状況を把握し、何をすればいいのかを勉強させるからです。
後継者の地位も大変なため、実際に会社の経営陣に入りながら、勉強していくのです。
そこで、ちょうど役員改選時期に来たということで、この機会に代表取締役を変えるという会社もあります。
取締役会設置会社の場合は、取締役会決議ですれば問題ありません。
取締役会非設置会社の場合は、定款の定めに従って代表取締役を選定します。
多くの会社が「代表取締役の選定は取締役の互選で定める」となっているので、取締役のお話し合いで代表取締役を決めます。
なお、代表取締役は取締役になっていることが前提のため、まだ取締役に就任していないのであれば、株主総会で取締役を就任してから代表取締役を選びます。
代表取締役を選ぶ際に押印する印鑑は?
意外と難しい問題が、代表取締役を選んだ書面(取締役会議事録・互選書など、以下「議事録等」といいます。)に押印する印鑑をどうするのか。
代表取締役の地位のみを退任し、今後も取締役として残る場合、会社実印を押印すれば、残りの者は認印を議事録等に押印します。
問題は、前任者が取締役も退任した場合です。
この場合、代表取締役を選ぶ決議には前任者は参加できない場合が多いので、議事録等には、出席取締役全員の個人実印と印鑑証明書を添付する必要があります。
ただ、承継の場合、旧代表取締役が取締役として残ることが多いので、その者が会社実印を押印すれば、残りの方々は認印でいいです。
就任承諾書や辞任届の押印に注意
取締役会設置会社の場合、代表取締役の就任承諾書には就任者の実印押印と印鑑証明書が必要となります。
取締役会非設置会社で、取締役の互選により代表取締役を選んだ場合には就任承諾書が必要です。
その就任承諾書には、実印押印は必要ありません。
それは取締役就任時に実印と印鑑証明書を添付しているからです。
また、事業年度をもって辞任という形で承継することもあるでしょう。
代表取締役の辞任届には、会社実印を押印するか、個人実印で押印し印鑑証明書を添付するかいずれかの方法になることも注意してください。
印鑑届書の添付を忘れずに!
代表取締役が変わる場合は、印鑑提出者が変わるので、「印鑑届書」を提出する必要があります。
注意していただきたいのは、取締役会非設置会社の代表取締役が変わる場合。
登記申請書には印鑑証明書を添付しなかった場合でも、「印鑑届書」には実印押印と印鑑証明書の添付が必要となることをお忘れなく。
関連して、代表取締役が変わると金融機関の口座や借入金があった場合も手続きが必要なので、こちらも注意してください。
まとめ
事業年度終了後に代表取締役を変える場合には、選定方法、議事録や就任承諾書・辞任届の押印、印鑑届書の提出などに注意してください。
今回は
『中小零細企業の代表取締役が変わる場合の手続きを教えて下さい!』
に関する内容でした。
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