東京都江戸川区船堀 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
昨年、ある士業の団体で「相続土地国庫帰属制度の概要」と題してお話してきました。
講義当時で分かっている内容でざっくりとお話しました。
今回は、「相続土地国庫帰属制度」の概要をお話します。
相続土地国庫帰属制度の添付書面は?
相続土地国庫帰属制度については、法務省のホームページで逐次変わっています。
添付書面についても詳細に記載されているため、利用される場合は確認されるのがいいでしょう。
すべての申請者が必要となる書類としては下記のとおりです。
・承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする書面
・承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
・承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
・申請者の印鑑証明書
他にも、「相続人が遺贈を受けたことを証する書面」(遺言書や戸籍謄本など)が必要です。
審査手数料はいくらか?
土地一筆につき14,000円です。
例えば土地が10筆であれば14,000円×10で140,000円となります。
注意なのは、承認申請を途中で取り下げた場合、審査手数料は返還されないこと、承認申請が却下された場合や承認されなかった場合、審査手数料は返還されないことです。
なので、申請前には当該土地が要件に該当しているのかを確認する必要があります。
承認申請の受付はどこでされるのか?
承認申請する土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)が提出先となります。
相続土地国庫帰属制度を専門家に依頼する場合誰に相談すればいいか?
書類の作成に関しては、弁護士、司法書士、行政書士が申請書等の作成の代行をすることができます。
なお、申請を検討している土地の所在や境界に不明瞭な点がある場合などは、申請に先立って、土地家屋調査士に相談することもできます。
いずれにしても「相続土地国庫帰属制度」を利用する場合は、専門家に一度相談したほうがいいです。
相続土地国庫帰属制度は利用されるのか?
当該制度の土地の要件としては、「通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地」に該当しないことです。
建物がある土地や担保権が設定されている土地は「相続土地国庫帰属制度」の対象外となります。
なので、都心部の多くの土地は「相続土地国庫帰属制度」の対象にはならないと現時点では感じています。
さらに、申請までのステップが面倒なこと、費用がかかることを考慮すると、はじめのうちは利用する方もそこまで多くないと思います。
実際に制度が運用されて、改善はされてくるかと思うので、「相続土地国庫帰属制度」を利用したい場合は、事前準備をすることをおすすめします。
現状の統計はどうなっているのか?
法務省がこまめに「相続土地国庫帰属制度」の統計を公表しています。
令和6年2月29日現在の状況によると、
申請件数の総数は1,761件、これを多いと見るかどうかは難しいところですが、それなりに申請はされている印象です。
地目別だと、田・畑が670件、宅地が655件、山林が255件、その他が181件となっています。
申請件数のうち、国庫に帰属されている土地の件数は150件とまだ少ないかもしれません。
種目別を見ると、宅地が66件、農地が33件、森林5件、その他46件となっており、39都道府県で帰属されています。
帰属土地には東京都も含まれていることから申請し、要件を満たし通れば、土地が帰属されると思われます。
ただし、申請されても却下が6件あり、さらに申請したが途中で取り下げしたした件数も183件あり、不承認も9件あります。
個人的感想ですが、まずは却下要件に当てはまらないことがとにかく大事。
建物が立っている「土地」は申請不可能であり、「土壌汚染や埋設物がある」「危険な崖がある」「道路など他人によって使用される」土地の申請はできません。
要件を満たしているかどうか申請前に自分で調べる必要があり、ここでハードルが高くなっていると言われています。
なので、この制度を利用したいときは、すんなり土地は放棄できない、時間がかかるということを意識されたほうがいいでしょう。
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まとめ
相続や遺贈により土地を手放したい人には朗報となる「相続土地国庫帰属制度」。
ただ、要件となっている土地や添付書面、費用は確認してから利用されることをお薦めします。
また、利用される前に、法務省のホームページや専門家に相談することも検討してください。
今回は
『令和5年4月27日「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました!江戸川区の司法書士が解説』
に関する内容でした。