ブログ講義 「相続土地国庫帰属制度の概要」を江戸川区の司法書士が解説(その4)

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

先日、ある士業の団体で「相続土地国庫帰属制度の概要」と題してお話してきました。

講義当時で分かっている内容でざっくりとお話しました。

今回はブログ講義形式で「相続土地国庫帰属制度」の概要をお話します。

今回は4回目となります。

先日「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則案」のパブリックコメントが出されました。

今回はこのパブリックコメントをもとに承認申請書及び添付書類などを書いていきます。

承認申請書の提出方法

承認申請書及び添付書面の提出は、承認申請に係る土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長(以下「管轄法務局長」といいます。)に対して行うのが原則です。

ただし、承認申請に係る隣接する二筆以上の土地の管轄法務局長が2つ以上あるときは、いずれかに対して提出すれば足ります。

承認申請書の記載事項

承認申請書には以下の事項を記載することになります。

なお、承認申請書は、土地の一筆ごとに作成することが原則です。

ただし、同一の承認申請者等が二筆以上の土地について承認申請を同時にするときは、ひとつの申請書でできます。

・承認申請者の氏名又は名称及び住所
・承認申請者が法人であるときは、その代表者の氏名
・法定代理人によって承認申請するときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名
・承認申請に係る土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所
・承認申請に係る土地の所在、地番、地目、地積
・承認申請者又は法定代理人の電話番号その他の連絡先
・手数料の額
・承認申請の年月日
・承認申請書を提出する管轄法務局長の表示

承認申請書には、原則申請者の実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

ただし、法人が申請者の場合、会社法人等番号を申請書に記載したときは別途印鑑証明書は不要になります。

また、承認申請者が記名押印した承認申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合も別途実印押印と印鑑証明書の添付は不要です。

日本人ではあるが、外国に居住していて、印鑑証明書が添付できない場合がこの例にあたります。

さらに、裁判所によって選任されたものがその職務上行う承認申請の承認申請書に押印した印鑑に関する証明書であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したものが添付されている場合も別途市区町村の印鑑証明書は不要です。

相続財産管理人の場合がこれにあたります。

承認申請書の添付書面及び原本還付

承認申請書には、上記に記載した印鑑証明書の他、以下のものを添付する必要があります。

・承認申請者が登記記録で相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)で取得したことが明らかでないときは、当該者であることを証する書面
・法定代理人によって承認申請をするときは、戸籍事項証明書その他の資格を証する書面
・承認申請者が法人であるときは、承認申請書に会社法人等番号を記載していないときは、当該法人の代表者の資格を証する書面
・承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
・承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
・承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
・承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面

原本還付は原則できますが、印鑑証明書及び承諾書は還付できないことになります。

添付書面については今後パブリックコメントを通して様々な意見が出るかと思うので、具体的にどうなるかは注目していきます。

承認申請書類などの訂正方法

申請書や添付書面などの訂正方法についても定められているので注意です。

文字の訂正、加入又は削除したときは、その旨及びその字数を欄外に記載し、又は訂正し、加入もしくは削除した文字にカッコその他の記号を付してその範囲を明らかにする必要があります。

この場合、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておくことが必要です。

なので修正液とか修正テープなどを利用することができないことになります。

承認申請書が2枚以上あるときは、各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載する必要があります。

承認申請書などの提出方法と手数料の納付方法

承認申請書は管轄法務局の他、書留郵便又は信書便で送ることになります。

実務で申請情報のみをオンラインで送付して、添付書面を郵送で送付するとき、レターパックプラスで法務局に送っています。

その方法を用いて承認申請書を送付してもいいかと思われます。

なお、承認申請書及び添付書面を入れた封筒の表面には「承認申請書在中」と記載する必要があります。

手数料はいくらになるかは現時点では不明ですが、収入印紙で納める必要があります。

まとめ(今回の気づき)

添付書面の抽象的な部分についてパブリックコメントで公表されました。

具体的にどうなるのかは今後のパブリックコメント次第となりそうです。

細かいことは法改正が行われる令和5年4月27日あたりに出されると思われます。

詳細はこちらのパブリックコメントを御覧ください。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則案に関する意見募集

今回は
『ブログ講義 「相続土地国庫帰属制度の概要」を江戸川区の司法書士が解説(その4)』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

前回のブログとあわせて御覧ください。

参考書籍

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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