遺言 公正証書遺言でも万全でないときがあります!なぜか?

遺言 公正証書遺言でも万全でないときがあります!なぜか?

東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

相続対策の一環として行われるものとして「遺言」の作成があります。

遺言の種類は、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言が普通方式ではあります。

しかし、公正証書遺言を書いたからといって、かつ司法書士などの専門家が関与したからといって必ずしも大丈夫とはいえないことがあります。

どのような場合でしょうか。

遺言 公正証書遺言でも万全でないときがあります!なぜか?

そもそも遺言は書いたほうがいいのか?

最近は遺言ブームのところがあり、士業でも金融機関でも遺言を勧めているところが多いです。

とりわけ、遺言を取り巻く環境も変わっており、自筆証書遺言については法改正がありました。

さらに、自筆証書遺言の法務局への保管制度も導入されています。

遺言については、これから相続対策をする上で重要になってきます。

とはいっても、自筆証書遺言の場合は法改正がはいっても、未だ自筆証書遺言についてはリスクが多いのです。

なので、多くの方は公証人が関わる公正証書遺言のほうが安全だと言われています。

私も、しっかりした内容の遺言を残したいのであれば、公正証書遺言をオススメしています。

公正証書遺言でもリスクがある

公正証書遺言は遺言する人が遺言能力を有しているかどうかで変わってきます。

遺言能力については、遺言者が遺言事項の意味内容や当該遺言をする意味を理解しているかどうかで決まってきます。

なので、遺言書作成当時、認知症であるとなると、公正証書遺言の作成は難しいと思ったほうがいいでしょう。

平成22年7月15日の東京高等裁判所の判例がありました。

①本件公正証書の作成に関与したH司法書士等は,公正証書作成当日初めて遺言者に会ったものであること

②遺言者は当時87歳で介護老人保健施設に入所しており,公正証書の作成を依頼した親族により車椅子に乗せられてきたこと

③同司法書士等は遺言者を診察したことのある医師や亡A子の介護に当たっていた老人介護施設職員の意見を聴取していないこと

を理由に、仮に司法書士等が当日の遺言者との会話のなかで、その受け答えに基づいて遺言者に遺言能力があると感じたとしても、遺言能力が無いという結論は妨げられない、としました。

この裁判例を踏まえれば、弁護士や司法書士等の専門家が関与して公正証書遺言を作成する場合であっても、認知症の疑いがある高齢者については、医師や介護施設職員から意見を聴取する等して、認知症の程度について確認する、というプロセスを経ていなければ、後々無効とされるリスクがあるということになります。

(『遺産総取りを企む親族…「司法書士に遺言書依頼」も撃沈』幻冬舎GOLD ONLINE より抜粋)

この事案のように、公正証書遺言の作成に司法書士が携わった事案において、司法書士が当時の状況を踏まえ、遺言能力があると感じても、当該遺言者には遺言能力がないということで、公正証書遺言を無効にしたというものがあります。

この場合、公証人も立ち会っているはずなので、公証人も遺言能力がないと判断すればよかったのではありますが、その部分には触れられていません。

公証人の判断の部分を省略したのかは分かりませんが、いずれにしても判断能力は司法書士や弁護士でも難しいところがあります。

なので、後見相当で医師の診断で認知症だと明らかな場合には、公正証書遺言の作成は難しいと思ったほうがいいでしょう。

よほど本人が遺言書作成当時能力が回復していたとかの事情がないと公正証書遺言の作成はできないと言えます。

当然ですが、認知の状態で信託契約を締結することも当然できません。

相続開始前でも元気なうちに対策を講じる必要がある

どうしても、「相続」と考えると、後ろ向きに考える人が多いようです。

なので、どんどん後回しになっていき、遺言書書きたいと思ったときには遺言能力がない。

そうなってしまうと、正直生前相続の手続きはできないと思ってください。

相続開始後に相続人間でトラブルが発生しそうな場合には、自分が元気なうちに相続対策を行うことを意識してください。

まとめ

今回の事案は、本人が認知の状態で、司法書士の専門家が遺言書作成当時の事情を考慮して公正証書遺言全体を無効とした判例でした。

公正証書遺言を書いていれば安心とは言えないこともあるということを家族の人やこれから相続対策を講じる方も注意してください。

今回の事案は下記の記事を参考に作りました。

遺産総取りを企む親族…「司法書士に遺言書依頼」も撃沈』(幻冬舎GOLD ONLINEより)

今回は
『遺言 公正証書遺言でも万全でないときがあります!なぜか?』
に関する内容でした。

参考動画

遺言についての動画はこちらを参考にしてください。

「自筆証書遺言と公正証書遺言どちらがいいのか?」

YouTubeのチャンネルはこちら

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参考書籍

相続は遺言書で9割決まる!

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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