定時株主総会 ひとり株式会社でも開かなければいけませんか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近はコンパクトビジネスや副業を認める企業が増えた影響からかひとり株式会社を設立する方が増えてきました。
株式会社にした以上、会社の規定に基づいて会社を運営する必要があります。
今回はひとり株式会社の定時株主総会に焦点をあてて解説します。
ひとり株式会社でも株主総会を開く必要はあるか?
ひとり株主・取締役であろうと毎年必ず定時株主総会を開く必要がある
会社法の規定で、事業年度終了後3ヶ月以内に定時株主総会を開催しなければならないとなっています。
これは事業年度の決算の承認を要するためです。
計算書類の承認が株主総会でなされたら、法人としての税務申告をする必要があります。
ただ、法人の確定申告は原則として毎事業年度末日から2か月以内にする必要があります。
会社法と税務申告期限と違いが出てきますが、ほとんどの中小零細企業は、税務申告のからみから、事業年度終了後2ヶ月以内に定時株主総会を開催して、税務署に計算書類などを申告します。
会社の大小の規模に関わらず、ひとり株式会社であろうと必ず定時株主総会を開く必要があります。
ひとり株式会社は招集手続を省略できる?
会社法では、取締役の決定で総会日時を決めて、総会日時より一定の期間内に招集通知を発送しなければなりません。
ただし株主全員の同意があれば書面決議や電子決議をする場合を除き招集手続をしないで株主総会を開催することができます。
株主が1名の会社であれば、当然招集手続をしないで株主総会を開催できます。
なので、税務署に提出する計算書類が完成した時点で、株主総会を開催して計算書類を承認しておけば十分です。
株主総会議事録は作成保管しなければならないか?
株主総会は開催したら、必ず議事録を作成し、会社に保管しなければなりません。
それは後日株主総会でどのような決議をしたかを裏付ける役割を果たすからです。
よく、経営者の方から質問がある事項に、役員報酬のことがあります。
役員報酬は、原則株主総会で決めなければならないので、必ず議案にした上で議事録に残します。
ひとり株式会社であろうと変わりません。
署名義務者ですが、取締役が1名なので、自分で議事録を作成し、署名もしくは記名捺印しておく必要があります。
印鑑は会社代表印で押印しておきましょう。
ひとり株式会社の場合は319条のみなし決議の活用を!
ひとり株式会社の場合は、ひとりで総会を開いてひとりで決議する会議体みたいな形で議事録を作成している方が多いです。
しかし、私はこれにはものすごく違和感を覚えます。
だって、ひとりで総会をしてひとりで承認し、ひながた議事録に当てはめるのは何か違うのではないかと感じるのです。
そこで、私が提案しているのが会社法第319条1項のみなし総会。
こちらは取締役や株主が株主総会会の議案を提案し、株主全員の同意があれば、総会を開かなくてもいいという手続。
それのほうがひとり株式会社ではしっくり来るのです。
当然319条に基づき株主総会をしたとしても、議事録の作成義務はありますので、実体にもマッチします。
ぜひ、ひとり株式会社の経営者は会社法第319条1項のみなし総会の利用を検討してください。
詳しくはこちらのブログを御覧ください。
まとめ
たとえひとり株式会社でも、株主総会を開かないといけない。
そして、株主総会を開催したら議事録を作成し、会社に保管する。
最近はコンプライアンスが重要だといわれますが、ひとり株式会社であっても、定時株主総会を開くことはアタリマエだということを認識してください。
今回は
『定時株主総会 ひとり株式会社でも開かなければいけませんか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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