ひとり株式会社の経営者が法務上忘れやすいこととは?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
ひとり株式会社を設立して、ホッとしている経営者が多いでしょう。
ただ、法人を設立した以上、会社法の規定にしたがって運営しなければなりません。
意外と最近多いひとり株式会社の法務上で忘れがちなことを書きます。
ひとり株式会社の経営者が法務上忘れやすいこととは?
忘れがちなこと 任期満了による役員変更登記
ひとり株式会社の多くは、取締役の任期を10年にしています。
なので、10年経過したら、必ず役員変更登記をしなければなりません。
意外とひとり株式会社の場合、10年継続しているところが多く経営状態も良好の場合が多いです。
しかし、役員の任期が切れていることに意外と気づかないことが多いです。
別の登記の依頼の際に役員の任期が切れている場合とか、法務局からみなし解散の通知がきてはじめて役員変更登記をしなければいけないというのに気づくのです。
任期が満了して自分が引き続き取締役として経営する場合でも、役員変更登記が必要となりますので、忘れずにやるようにしてください。
忘れがちなこと 定時株主総会の開催
自分の任期が満了しているかを把握するため、定時株主総会の開催をすることをおすすめします。
定時株主総会は毎年必ず1回、事業年度終了後3ヶ月以内に開催する必要があります。
ひとり株式会社では、税務署に計算書類等を確定申告する必要があり、計算書類等は株主総会の承認事項であるため、事業年度終了後2ヶ月以内にします。
任期が10年であれば、10回目の定時株主総会のときに任期が切れるということを把握でき、登記懈怠のリスクを防ぐことができます。
定時株主総会については、株主も取締役もひとりのため、会社法第319条第1項のみなし総会を活用することをおすすめします。
定時株主総会と関連して、定款変更して登記事項が発生することもあります。
その際は株主リストが必要なので、ついでに株主名簿も整備しているかを確認してください。
忘れがちなこと 決算公告
計算書類等を定時株主総会で承認したら、速やかに決算公告をする必要があります。
公告するのは、定款に定められている方法で行います。
ひとり会社の場合は官報がほとんどなので、官報に貸借対照表の要旨を掲載すればいいことになります。
よく電子公告を用いて決算公告するところがありますが、こちらは計算書類の要旨だけでは足りないので注意してください。
まとめ
ひとり株式会社だと、会社設立してホッとするためか法務面で欠けてしまうことが散見されます。
会社の税務だけでなく法務ももっと意識することが重要です。
今回は
『ひとり株式会社の経営者が法務上忘れやすいこととは?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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