東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
前回のブログで「株主総会 ひとり株式会社は会社法第319条のみなし株主総会の活用を!」と題して書きました。
ひとり株式会社以外でも他の形態の会社でも株主総会みなし総会決議を使える場面はあるのでしょうか。
私なりに考えてみました。
株主総会 会社法第319条のみなし総会を活用できる会社はこんな会社だ!
会社法第319条のみなし総会って何?
前回のブログで会社法319条の条文をあげていなかったので、ここで紹介します。
(株主総会の決議の省略)
第319条
1 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から十年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第2項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5 第1項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。
株主数がひとりの場合に使えるのが会社法319条のみなし総会のいいところ。
総会そのものは、株主全員の同意があれば開催されません。
しかし、株主総会議事録の作成や議事録の保管義務等は通常の株主総会を開催した場合と同じになります。
実際には総会は開かれないのに株主総会議事録は作る必要はある、ちょっと奇妙かもしれません。
会社法319条のみなし総会が使える会社とは?
中小零細企業で会社法第319条が使える場面はどのような場合でしょうか?
私なりに考えた会社形態は以下のとおりです。
・(完全)ひとり株式会社の場合
・100%子会社の場合
・家族経営の場合
ひとり株式会社の場合は前回のブログで書いたので、今回は「100%子会社」と「家族経営の場合」を取り上げます。
みなし総会の活用:100%子会社
会社が100%出資して設立した会社形態、つまり100%子会社の場合、みなし総会決議を活用できます。
実際には大手企業の子会社で、319条のみなし総会決議を活用しているケースを見かけます。
最近中小零細企業でも、自分が設立した会社を出資者として、新たに会社を設立するケースが増えています。
そういう方々に「みなし総会」の制度を知っていただきたく、そして活用をしてほしいです。
100%子会社だと、株主は親会社ひとりのため、親会社の意向に従って会社運営ができます。
そうなると、株主総会もわざわざ会議体形式にする必要はありません。
定時株主総会もみなし総会形式で開催したほうがコストを抑えられます。
みなし総会の活用:家族経営の場合
家族経営の場合は、誰かが100%株式を取得している、もしくは家族内ですべての株式を取得している場合がほとんどです。
また、家族経営の場合、実際に総会を開いていることは少ないです。
こういう会社こそ、みなし総会を活用して、株主総会をやってもらいたいです。
なお、家族経営といっても、第三者株主が関与している場合は、みなし総会決議は使いづらいときがあります。
また、家族間で経営を巡って対立しているケースもあります。
その場合は、通常の株主総会を開催する必要がありますので注意してください。
まとめ
319条のみなし総会は活用できる場面が多いです。
特に中小零細企業で株主総会を開催するときには重宝します。
ぜひ検討してみることをオススメします。
今回は
『株主総会 会社法第319条のみなし総会を活用できる会社はこんな会社だ!』
に関する内容でした。
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ひとり株式会社の場合みなし総会の活用についてはこちらを御覧ください。