東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
取締役も株主もひとりのいわゆる「ひとり株式会社」
ひとりであろうと株主総会は必ず毎年開かないといけません。
でもどうやって株主総会開催すべきか、そして議事録はどのように作成するか、私見を交えて紹介します。
ひとり株式会社の株主総会で注意することは?
そもそも株主も取締役もひとりなのだから適宜な日に開催できる!
株主も取締役もひとりの会社なのだから、思い立ったときにすぐに株主総会を開くことができます。
わざわざ会社や定款の規定に基づき招集手続などする必要がなく、株主全員の同意で招集手続の省略でして構いません。
株主が複数いる会社でも、取締役会非設置会社の場合は書面ですることを要しないので、電話やメールでも可能です。
それでも総株主の同意で招集手続の省略をする場合を除き、書面等で招集手続をしたことを残しておくべきです。
株主総会議事録の作成 ひとり会社でも作成する必要がある
株主総会を開催したのであれば、議事録を作成し、会社に保管する必要があります。
ひとり株式会社であっても、当然に株主総会は開催しないといけませんし、議事録を残しておかないといけません。
でも、ひとり株式会社の場合、わざわざ議長を選んで会議体みたいな議事録を作成していいのでしょうか。
私はそこに抵抗があります。
そこで活用してほしいのが会社法319条のみなし総会(書面決議)の制度です。
この場合、取締役や株主が総会決議事項を提案し、株主全員が同意すれば株主総会が成立したとみなされる制度です。
会社法第319条に基づく株主総会の方法は?
繰り返しになりますが、まず、取締役か株主が株主総会の決議事項について提案し、株主全員の同意があれば、株主総会を開催したのと同じ扱いになるのが会社法319条のみなし総会の制度です。
ひとり株式会社であればこの制度を活用しない手はないはずです。
319条のみなし総会の場合、取締役もしくは株主から提案書と株主が同意した書面(全員の株主)を用意すれば問題ありません。
ただし、ひとり株式会社の場合は、自分で提案し同意すればいいので、「提案書兼同意書」でひとつにまとめたほうがいいでしょう。
なお、株主が複数いる場合、株主の同意書は郵送で行う必要はなく、電磁的記録でもいいので、PDFファイルでメールに添付してもらう形が簡単でしょう。
そして、みなし総会であっても、株主総会議事録は作成する必要があります。
何を記載するかについては会社法施行規則に記載されていますが、主なものは以下のとおりです。
- 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
- 1の事項の提案をした者の氏名又は名称
- 株主総会の決議があったものとみなされた日
- 議事録の作成にかかる職務を行った取締役の氏名
上記内容を記載した株主総会議事録と同意書を会社に保管する必要があります。
なお、決議事項に登記すべき内容が記載されている場合は、この議事録が添付書面となります。
提案書や同意書までは登記申請の際には要求されていません。
まとめ
ひとり株式会社の場合は、会社法319条のみなし総会決議を活用することをおすすめします。
だいたい実際に株主総会を開催することはひとり株式会社の場合、現実的ではないので・・・
今回は
『小さな会社の企業法務 不動産登記・商業登記の申請をすると登記事項証明書は取得できません!』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
小さな会社の企業法務で登記事項証明書を取得する歳、登記申請後はすぐには取得できません。
そのことをブログで書きました。
参考書籍
会社法の議事録作成実務 | ||||
|