遺言をしたいですが、安く済ませたいのですが…
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近、「エンディングノート」とか「家族信託」とかブームなのか、自分の相続のことを相談される方が増えました。
予防法務的なことに関心がある方が増えています。
合わせて「遺言」についても聞かれ、安く済ませたいという方もいます。
そこで、今回は相続法改正もあった自筆証書遺言について触れていきます。
ただ、あまり安く済ませたいがためにリスクを追うことには問題があります。
遺言をしたいですが、安く済ませたいのですが…
自筆証書遺言のリスクを考える
自筆証書遺言は、遺言できる能力さえあれば、いつでもどこでも書くことができます。
祇も指定されておらず、消えないボールペンで自筆さえし、法律の要件があっていれば、遺言として成立します。
公正証書遺言は公証役場にいって、一定の手数料を払わないとできないのに対し、自筆証書遺言は費用がかからないという点で、安くできると思っている方も多いです。
しかし、実際遺言書を書いたところで、法律の要件を欠いてしまったために無効になるリスクが高い。
なので、自筆証書遺言で安く済ませたいのであれば、自分で遺言に関する書籍などを購入してやらないといけません。
安く済ませたいがために自分の思い通りにならないことになったら、相続人にも迷惑をかけてしまいます。
なので、自筆証書遺言をしたいのであれば、司法書士や行政書士が間に入って行うべきだと言えます。
自筆証書遺言については相続法が変わり少し手間が省けている
2019年1月から、自筆証書遺言の部分が改正され、相続財産につき、自筆でなくても、
登記簿謄本や通帳の写しを入れておく方法ができるようになりました。
自筆によらなくて良くなったものは「遺贈等の対象となる財産を特定するために必要な事項」に限られますが、これでも自筆の負担が減らすことができます。
ただ、自筆によらず作成した財産目録が数葉に渡る場合は毎葉に遺言者の署名及び押印が必要で、両面の場合はその両面に遺言者の署名及び押印が必要です。
いくら自筆によらず財産目録ができても、これを忘れてしまうと、遺言書自体が無効になるので注意してください。
自筆証書遺言を法務局に保管できるようになる
2020年7月の予定で、自筆証書遺言を法務局に保管できる制度が導入されます。
保管できることで偽造防止の役割を果たすなどメリットもあります。
実際にどれだけ利用されるかは保管制度が始まってみないと分かりません。
ただ、どうしても遺言書の費用を安く済ませたいという方は、この制度ができるということは知っておくべきでしょう。
まとめ
自分の権利を次の人に継がせたい思いはここ最近増えています。
安く済ませたい気持ちは分かりますが、安く済ませたい場合はそれだけリスクも伴うことも知っておくことが重要です。
個人的には自筆証書遺言はあくまでも緊急避難的に、公正証書遺言を残したほうがいい気がしますが…
今回は
『遺言をしたいですが、安く済ませたいのですが…[相続遺言]』
に関する内容でした。
あわせて読みたい(相続法改正に関する内容です)
自筆証書遺言の方式を緩和する方策 いよいよ本日施行!何が変わるか再度確認しましょう!
自筆証書遺言 手続が安い分間違って効力が発生しなかったら自己責任!
相続法を中心とした民法改正 2018年7月13日公布!自筆証書遺言と法務局の遺言書保管はどうなるのか?