東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
小さな会社の企業法務でも承継問題(事業承継)は大事なこと。
遺言書のことを経営者は知っておくべきです。
ところで、2019年は民法相続法分野の改正が行われ、変わった部分が多岐にわたります。
相続法分野の改正のうち、自筆証書遺言の方式を緩和する方策についての改正が施行されました。
自筆証書遺言で何が変わったのか、再度確認するとともに自筆証書遺言の活用についても触れていきます。
自筆証書遺言の要件で何が変わるのか?
かつては、自筆証書遺言は本来は日付と氏名もすべての内容を手書きでしなければなりませんでした。
そのため、自筆証書遺言は最も気軽にできる反面、1つでも遺言書にミスがあると遺言書全体が無効になってしまうリスクがあります。
あと、高齢者が自筆証書遺言を書くとなると、全部手書きでやる必要があり、かなりの労力を伴い、かなり面倒です。
さらに、本当にその人が遺言を書いたのかというところでも争いが出ることもあります。
そこで、相続財産の全部または一部の目録を添付する場合には、その目録については、パソコンで作成したもので良くなりました。
これで少しでも自筆証書遺言について労力が緩和されることになるでしょう。
また、財産目録として添付する書面は、パソコン等で財産目録を作成しても、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写し等を添付し、目録として使うこともできます。
ただし、注意しなければならないのは、自筆証書遺言に添付する財産目録は、毎葉への署名押印が必要であること。
パソコンで作成したものであっても、コピーのものであって署名押印が必要だというところに注意です。
なお、財産目録については、遺言者以外の者による代筆もできるため、パソコンが苦手な高齢者の方は、財産目録だけ家族に作ってもらい、高齢者の方が署名押印してもいいことになります。
公正証書遺言の代用として:自筆証書遺言の活用のしかた
公正証書遺言をそろそろ作りたいが、まだその気になれない場合、まずは自筆証書遺言から作成してみてはいかがでしょうか。
自筆証書遺言は財産目録を除く遺言内容、日付、氏名は自筆で、財産目録はパソコン等で作っておけばとりあえずは安心でしょう。
自筆証書遺言を法務局でも預かれる制度も導入されているので、それを活用するのもありでしょう。
自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続が必要ですが、法務局で自筆証書遺言を保管できる制度が導入されると、法務局保管の自筆証書遺言は検認手続不要の扱いになります。(後述)
なので、公正証書遺言に抵抗のある方はとりあえず自筆証書遺言を作成することをおすすめします。
ひとり会社を設立する起業家も遺言書は必須!
これからひとりビジネスで法人を設立する人も自筆証書遺言は必須です。
株式会社にしろ、合同会社にしろ、万が一自分の身になにか起きたときのリスク対策として遺言書を書くことは大事です。
特に合同会社の社員の承継については遺言書で書いておけば、承継者が引き続き合同会社を運営できるので、ぜひ自筆証書遺言を作成してください。
合同会社の社員の承継については定款に記載がないといけませんので、定款にその旨の記載があるかを確認してください。
もし、社員の承継に関する規定がない場合は、今すぐにでも定款変更してください。
法務局での自筆証書遺言遺言保管制度
遺言書を自宅に保管すると、紛失や最悪改ざんされてしまうリスクが出てきてしまいます。
そこで、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が導入されました。
どこの法務局でも保管できるわけではなく、遺言者の住所地か本籍地、あるいは、所有不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の「遺言書保管官」に対し、申請することに、なります。
費用はかかりますが、公正証書遺言に比べて安価ですし(保管手数料3,900円)、保管制度を活用すると家庭裁判所での検認手続が不要なので、利用価値は高いです。
注意なのは、誰かが変わりに法務局に出向くことができず、遺言者本人が法務局に行かないといけないところ。
入院とかしている場合は、自筆証書遺言保管制度は活用できないことになります。
この場合は、公正証書遺言で対応するしかありません。
まとめ
自筆証書遺言の方式の要件緩和は相続法改正で先行されました。
7月1日には配偶者居住権以外の相続法改正が施行されています。
相続法の改正は多岐にわたっています。
今回は
『自筆証書遺言の方式を緩和する方策が施行されています!何が変わるか再度確認しましょう!江戸川区船堀の司法書士が解説』
に関する内容でした。
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