ちょっと複雑な商業登記の登録免許税 取締役会や監査役をなくす場合など

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

中小零細企業の商業登記。
会社の規模に応じて、機関設計の見直しや会社の形態そのものを変えたいこともあるでしょう。

その際、登録免許税でこれだけかかるという話をすると、躊躇する経営者もいます。

ただ、登録免許税の額が高いという理由で実態と合わない会社形態にしているほうが問題です。

今回は、

  • 取締役会設置会社・監査役設置会社の廃止の登記
  • 特例有限会社から株式会社への移行の登記

の登録免許税をお話します。

会社の規模に応じた商業登記の申請の登録免許税はいくらか?

今、取締役会と監査役を置いているが、全く機能しないので、なんとかしたい。
その際の登録免許税はいくらか?

有限会社であるが、今後のことを考えて株式会社にしたい。登録免許税はいくらか?

このような質問を経営者の方から多く受けます。

果たして登録免許税はいくらかかるのでしょうか?

取締役会と監査役を廃止する場合の登録免許税と留意点

平成18年以前から存在している株式会社の場合、定款を何もいじくっていなければ、ずっと取締役会と監査役を定款に記載しているとみなされています。

となると、取締役は3名以上、監査役は1名以上いなければなりません。

もしあなたの会社が未だ「取締役会設置会社」「監査役設置会社」で法律上何も機能していなければ、すぐにそれらをなくし、会社の規模に合わせた形にすべきです。

その際の登録免許税が意外と高いのは重々承知ですが、実態と合わない会社づくりだと、周りからの信用もなくなります。

またコンプライアンスの観点からも、適正規模に応じた会社運営すべきです。

取締役会設置会社や監査役を廃止する際の登録免許税は以下のとおりです。

まずは取締役会設置会社の廃止は3万円監査役の廃止の登記は3万円かかります。
さらに、監査役の廃止をすると、監査役の退任登記を伴うので、別途1万円(資本金の額が1億円以下の場合)かかります。

なので、最低でも7万円かかります。

なお、株式の譲渡制限で取締役会を承認機関としている場合、取締役会を廃止するため、株主総会等に承認機関を変更する登記もあわせて行います。

の際の登録免許税は、監査役の廃止の登記の登録免許税と同じ区分なので、別途納付する必要はありません。

また、この機会に商号や目的など定款の見直しをしたい場合、商号や目的変更の登録免許税も監査役の廃止の登記と同じ区分なので、別途納付不要です。

結論は、取締役会廃止と監査役の廃止をするときは7万円の登録免許税が必要だということを覚えておいてください。

なお、上記の登記内容をまとめると

  • 取締役会設置会社の旨の廃止
  • 監査役設置会社の旨の廃止
  • 監査役の退任による変更登記
  • 株式の譲渡制限に関する規定の変更登記
  • 場合によっては取締役・代表取締役の変更登記

をすることになります。

有限会社から株式会社に変更する場合の登録免許税

まず特例有限会社から株式会社への移行登記の申請は、

  • 商号変更による株式会社の設立登記
  • 特例有限会社の解散登記

の2つの登記を申請します。

まず、商業変更後の株式会社についての設立登記の登録免許税ですが、資本金の額の1000分の1.5を乗じた額が基本になります。

ただし、株式会社に変わる際における資本金の額を超える資本金の額に対応する部分については1000分の7を乗じた額になります。

これによって計算した金額が3万円に満たなければ、登録免許税は3万円です。

なお、株式会社の移行の登記の際にあわせ、様々な登記事項を変更することもあるでしょう。

その際は、資本金の額の増加以外の変更登記については、当該変更登記にかかる登録免許税を加算する必要はありません。

そして、特例有限会社の解散登記について、別途3万円必要です。

結論は、特例有限会社から株式会社への移行の登記は登録免許税は最低6万円かかるということを覚えておいてください。

まとめ

会社の規模を縮小したり、特例有限会社から株式会社への移行の登記はそれなりに登録免許税がかかります。

ただ、会社の今後の経営方針や周囲の環境、コンプライアンスの観点からどうするのかしっかり判断して決めてください。

今回は
『ちょっと複雑な商業登記の登録免許税 取締役会や監査役をなくす場合など』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

会社設立や役員変更などの中小零細企業の経営者が知っておくといい登録免許税の額をまとめました。ぜひ御覧ください。

中小零細企業の経営者が知っておくといい商業登記の申請時の登録免許税 

参考書籍

商業登記ハンドブック第3版

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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