東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近、株式会社で、役員変更登記を無断で変更した事件が発覚しました。
商業登記は形式的審査のため、書類が揃っていれば登記は受理されてしまいます。
ある意味、商業登記制度の弱点を突く今回の事件です。
さて、役員解任手続はどのようにして行われるのかを確認することも大事です。
今回は役員解任の要件などを紹介します。
会社乗っ取りはどこでも起こりうる問題
会社乗っ取りは正直どの規模の会社でも起こりうる問題です。
会社の実印をしっかり保管すればいいのではないかと思う方もいるでしょうが、実はそういうわけでもないのです。
商業登記を書面申請する場合、印鑑届書を法務局に提出する必要があります。
印鑑をなくしてしまった場合、再度印鑑届書を提出すれば、その登録した印鑑で変更登記を申請できてしまうのです。
なので、どんな規模の会社も一定期間ごとに履歴事項全部証明書を取り寄せるなど防護策を検討することも視野にいれるといいです。
役員の解任手続はどのように行うのか?
取締役や監査役の解任手続は株主総会で行います。
実際には招集通知の段階で役員解任の決議案が載っているのでその時点で解任される役員の氏名等はわかります。
ただ、全員出席総会の場合は、招集手続を省略できるので、中小零細企業の場合は株主が少ないので注意です。
さて、役員の解任決議ですが、会社法第341条で以下のとおり規定されています。
第309条第1項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。
定足数の全面排除はできないことに注意した上で、普通決議の要件で解任ができてしまうことになります。
なので、会社によっては解任決議を特別決議の要件まで厳しくしているところもあります。
決議が承認されると、その時点で取締役などの役員の地位を失います。
代表取締役であった者が取締役を解任されてしまうと、自動的に代表取締役も退任となります。
そのような場合は、代表取締役も新たに会社の機関設計に応じて選び直さなければ登記は受理されないことになります。
解任は手続を踏んで行うべき
解任が登記簿に記載されてしまうと、第三者から「この会社何かあったのか」と思われてしまうことになります。
なので、致し方なく「解任」を選択する場合は、当該役員に「解任通知」を出した上で、意見する機会を与えるなどの対応は必要になります。
できれば「辞任」で穏便に終わらせることも検討してください。
役員全員解任の場合の扱い
役員全員解任の扱いについては、法務局の方から適宜連絡がされる扱いのようです。
ただ、登記が完了してから連絡するようであり注意が必要です。
役員がひとりの会社でも起こりうる問題であるので注意してください。
まとめ(今回の気づき)
会社乗っ取りの被害に合わないように印鑑は厳重に管理する
履歴事項全部証明書や印鑑証明書をこまめに取得して確認する
役員の解任決議は株主総会の特殊普通決議でできてしまう
今回は
『知らない間の会社乗っ取り!役員解任の要件は?江戸川区の司法書士が解説』
に関する内容でした。
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