代表取締役と管轄外の本店移転で注意しなければならないことは?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日ある方から以下の質問が来ていました
(質問内容は変えてあります)
今度江戸川区から中央区に本店移転します。
同時に代表取締役も変更します。
登記手続きで必要な手続で注意しないといけないところを教えて下さい。
なお、非公開会社の会社です。
今回は、会社設立後かなりの年数が経過したひとり株式会社の役員選任の件について紹介します。
なお、会社法が一部改正されていますが、印鑑の届出は行うものとして解説します。
代表取締役と管轄外の本店移転で注意しなければならないことは?
手続や登記申請に関して注意することは?
取締役がA・B2名いて、代表取締役がAの非取締役会設置会社で、代表取締役をAからBへと変更する場合を想定します。
まず、本店移転に際して、定款変更が必要となります。
というのも、本店の所在地は独立最小区画で定めているので、上記の会社の事例だと
定款では「東京都江戸川区に置く」とかになっています。
それを定款変更する必要があるので、株主総会の特別決議が必要です。
定款で「本店を東京都中央区に置く」という決議を行う必要があります。
続いて代表取締役の交代ですが、定款で代表取締役を株主総会で選んでいる場合であれば、株主総会で代表取締役を選定します。
株主総会議事録に押印する印鑑ですが、Aについては会社実印を、Bについては認印で問題ありませんが、印鑑届書を提出するため、私の場合はBの個人実印で押印します。
なお、株主総会で代表取締役を選定する場合は就任承諾書は不要とされています。
一方定款で代表取締役を取締役の互選で選ぶ場合は、代表取締役を選定した互選書を準備します。
こちらも株主総会議事録同様印鑑については、Aは会社実印・Bは個人実印を押印しておくといいでしょう。
互選で選ぶ場合は、代表取締役Bの就任承諾書が別途必要であることに注意です。
代表取締役の就任承諾書は認印でいいですが、印鑑届書にBの実印を押印するので、個人実印を押すといいでしょう。
旧本店所在地でも印鑑届書の提出が必要
法務局の管轄が異なる場合、申請書を旧本店所在地・新本店所在地2通用意して、旧本店所在地の法務局に申請します。
また、新本店所在地用に印鑑届書を提出する扱いとなります。
今回の事例の場合、旧本店所在地で代表取締役を変更しているため、新本店所在地では当然Bに関する印鑑届書を提出しないといけません。
となると旧本店所在地と新本店所在地で印鑑届で相違してしまいます。
なので、それを是正するために、代表取締役を交代するのと同時に管轄外の本店移転登記をする場合、旧本店所在地で、Bに関する印鑑届書を提出する必要があります。
Bの印鑑届書には、旧本店、Bに関する事項を記載した上で、印鑑証明書を添えて提出することに注意が必要です。
結論としては、印鑑届書は旧本店所在地では代表取締役交代に関するものを、新本店所在地では、本店移転に伴う印鑑届書2枚提出することになることに注意してください。
まとめ
意外と盲点となる代表取締役の変更と管轄外の本店移転の登記の印鑑届書。
誰が会社を代表する者かを確認して印鑑届書の提出を忘れないようにしてください。
なお、電子署名し、全部オンライン申請する場合は、印鑑届書の提出が任意となるので、印鑑届書の提出は不要になると思われます。
今回は
『代表取締役と管轄外の本店移転で注意しなければならないことは?』
に関する内容でした。
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