ひとり株式会社 会社設立後10年以上経過した役員選任の手続の方法とは?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日ブログの問い合わせフォームから以下の質問が来ていました
(質問内容は変えてあります)
会社設立後13年近く経過していますが、今まで役員選任の手続をしていませんでした。
どうすればいいのでしょうか?
今回は、会社設立後かなりの年数が経過したひとり株式会社の役員選任の件について紹介します。
ひとり株式会社 会社設立後10年以上経過した役員選任の手続の方法とは?
そもそも任期が満了したら自動的に役員は更新しないのか?
結構ひとり株式会社の経営者が勘違いしていること。
非公開会社の場合、取締役の任期は最大で10年までとなっています。
10年経過したら、自ら辞任とかしなければ、自動的に更新されるのかというとそうではありません。
任期が満了したら、一度退任になります。
同じ人が引き続き役員をする場合には、事業年度末日から一定期間内に行われる定時株主総会にて役員改選決議をする必要があります。
代表取締役も取締役の任期に引きづられるため、取締役の任期が満了すると、代表取締役も任期が切れます。
ひとり株式会社でない場合は、新たに代表取締役の選定決議が必要です。
代表取締役を選ぶには定款の規定に基づいて行われます。
10年経過してさらに年月が経過した場合の役員改選
多くのひとり株式会社では、10年経過後に定時株主総会で役員改選決議をしていません。
もし10年以上経過して、まだ役員改選をしていない場合は、速やかに株主総会を開催して、役員改選決議をしてください。
この場合は、臨時株主総会になることがほとんどでしょう。
株主が複数名いる場合は招集手続をした上で開催してください。
問題は、最後の登記をしてから12年以上経過している場合。
すでに「みなし解散」の登記がされている場合は、結構ややこしいです。
みなし解散の登記が職権で入ってしまった場合はどうすればいいか?
みなし解散の登記がされてしまうと、会社の登記簿上は清算手続に入っているものと同じとなります。
つまり、会社の運営はしているけれど、登記簿上は会社をたたむ準備段階であることを意味します。
みなし解散登記が入って数年経つと、清算結了となってしまいます。
これだと、会社経営していると一般の方から見られることができません。
なので、株主総会でみなし解散から「会社継続」状態に持っていく決議をする必要があります。
「継続」決議をした上で、役員改選をする必要があります。
当然「継続」登記が必要なので、登録免許税は余計にかかりますし、過料の対象にもなってしまいます。
みなし解散させられているかどうかを確認するためには?
まずは法務局に行っていただき、印鑑カードで印鑑証明書を取得してみてください。
代表取締役の地位で取得できない場合は、みなし解散させられている可能性があります。
これは、みなし解散のときに取締役も代表取締役も職権で朱抹されてしまうからです。
さらに履歴事項全部証明書を取得してみて、「解散」の欄があり「平成○年○月○日会社法第472条第1項の規定により解散」となっていれば、みなし解散の登記が職権でなされています。
その場合、会社を続けたい場合は「会社継続」登記を速やかに行ってください。
まとめ
会社設立後10年経過して、結構放置している会社を私はいくつか見ています。
もう一度あなたの会社の定款と履歴事項全部証明書を確認するようにしてください。
今回は
『ひとり株式会社 会社設立後10年以上経過した役員選任の手続の方法とは?』
に関する内容でした。
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