令和3年2月に印鑑届書の提出義務がなくなるって本当なのか
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今回は改正会社法に絡むお話。
会社法改正にからみ、商業登記法も改正が入ります。
特に今回の商業登記法の改正は、実務にも直結するところで、私も情報収集しているところです。
今回は印鑑の提出義務廃止について私見を交え書いていきます。
令和3年2月に印鑑届書の提出義務がなくなるって本当なのか?
商業登記法の改正の内容とは?
「はじめ」にも触れましたが、今回の商業登記法の改正について、実務でもかなり影響が出るところです。
現状、商業登記法第20条で、会社の代表者は印影を登記所に提出する義務を課しています。
(印鑑の提出)
第二十条 登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。
2 前項の規定は、委任による代理人によつて登記の申請をする場合には、委任をした者又はその代表者について適用する。
3 前二項の規定は、会社の支店の所在地においてする登記の申請については、適用しない。
しかし、令和3年2月に予定されている商業登記法の改正で、20条の規定が削除されることになります。
となると、会社の代表印の印影を法務局に絶対提出する必要がなくなるのか多いな問題となります。
印鑑の提出は任意となるが…
商業登記法20条の削除により、法律上では、印鑑の法務局への提出は任意となります。
しかし、実質は書面による申請による場合には、改正商業登記規則により、従来どおり印鑑の提出が必要となります。
なので、中小零細企業の場合は、電子署名するコストなどから考えて、いきなり全てを電子化とすることは難しいものと考えます。
リモート署名にしてもクラウド型署名にしても、使用料金が結構するので、なかなか踏み込めない企業も多い気がします。
また、従来の商慣習から、契約書をいきなり電子化にするにもまだ抵抗があり、なかなか電子化に踏み込めないところも出てくるでしょう。
つまり、まだ紙ベースで契約書を交わし、会社実印で押印するという従来の商慣習は今後もしばらくは続くと思われます。
ただ、将来的にはすべて電子化となり、電子化・電子署名に対応できないところは厳しい時代になっていくかもしれません。
個人的には、当分の間は書面による申請が続くものと考えられ、印鑑届書の提出は続くものと思われます。
なので、会社設立時に際しても、いきなり電子証明書にせず、従来の印鑑届書を提出する形になるのかと思っています。
まとめ
そうはいってもなかなかできなかった電子署名が新型コロナウイルスの影響で急速に注目されてきたことを考えると一挙に進む可能性もあります。
常に時代の流れを掴んでおき、会社実印の電子証明化も進んでくることもあることを意識したほうがいいでしょう。
今回は
『令和3年2月に印鑑届書の提出義務がなくなるって本当なのか』
に関する内容でした。
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