東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
先日、法制審議会で会社法制に関する中間試案が公表されました。
前回は中間試案のうち、株主総会に関する規律の見直しについて書きました。
今回は取締役等に関する規律の見直しについて書きます。
なお、私見も交えて書くことをご承知下さい。
会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案の内容とは?
取締役等に関する規律の見直しについて
株主総会に関する規律の見直しは大きく分けて4つあります。
- 取締役の報酬に関する規律の見直し
- 会社補償に関する規律の見直し
- 役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備
- 社外取締役を置くことの義務付け
やはり、今回の中間試案のメインになるのは社外取締役の設置義務。
社外取締役の設置義務化をどうするか
社外取締役の設置義務を書く前に、もう一つ中間試案で指摘がありました。
それは、業務執行の社外取締役への委託についてです。
株式会社と取締役との間に利益相反行為や株主の共同の利益を害するおそれがある場合が問題になります。
上記に該当する問題がでた時、業務執行を社外取締役に委託することができる案がでています。
そして、メインの、一定の規模の会社に社外取締役の設置を義務付けるかという論点。
中間試案でも社外取締役設置を義務づけるかについては肯定・否定いずれも出されています。
社外取締役の設置義務化についてはさらに議論をなされると思われいます。
ただ、社外取締役が、会社の言いなりにしか機能せず、社外取締役そのものが機能していないのではと問題提起されています。
根本的に社外取締役の役割そのものを見直すことが先決のような気がします。
会社補償に関する規定
今回の中間試案では、会社補償に関する規定が盛り込まれました。
具体的には、一定事由が生じた場合、当該事由にかかる費用の一部を株式会社が補償することを約する契約を会社と取締役などの役員との間で締結するものです。
一定事由とは、取締役の職務執行に関し責任追及にかかる請求を受けたり、法令違反したことが疑われる事由がでた場合です。
株式会社が補償することができる費用等の範囲や、必要な手続きについて会社法に設けるようです。
会社が補償することになるので、十分な対応をしないと、株主や債権者を害するリスクもありそうな内容だと思います。
役員等賠償責任保険契約に関する規律の整備
役員等が何かあったときに保険で填補される、会社役員賠償責任保険について、その加入するための手続を会社法に規定しようとする動きがあります。
会社役員賠償責任保険の契約の内容を株主総会(取締役設置会社にあっては取締役会)の決議が必要なことや、保険に関する情報開示等に関する規定を会社法に盛り込むことを念頭においています。
取締役の報酬に関する規律の見直し
取締役の報酬に関する事項について見直しがされるようです。
報酬が取締役に対し職務を執行するインセンティブを付与するための手段として適切に機能することが重要です。
その取締役の報酬の見直しが必要であると、今回の中間試案では指摘しています。
内容は、取締役の報酬の内容に係る決定に関する方針についての株主総会における説明義務を新たに設けることが一つ。
そして、株式報酬等に関する株主総会の決議事項を見直すことが2つ目。
最後に、事業穂国による情報開示を充実されることが3つ目です。
ただ、会社法を改正する必要がない意見もあり、これらに関する内容が変わるかは流動的です。
まとめ
中小零細企業でも取締役の責任追及については補償に関する規定を適用する会社もあるかもしれません。
そして役員等賠償責任保険契約も検討する会社もあるでしょう。
いずれにしても中間試案の段階でこれからどう要綱案として煮詰まっていくか注目です。
会社の補償の規定は登記事項に加わるかもしれませんね。
今回は
『会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案の内容とは?取締役等に関する規律の見直し』
に関する内容でした。
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