東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
「会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案」が提示されました。
私のブログでも
- 登記に絡みそうな部分
- 株主総会に関する規律の見直し
- 取締役等に関する規律の見直し
と紹介してきました。
今回は、「その他」に関する内容を紹介します。
主に「社債管理補助者制度」と「株式交付制度」に関する内容です。
会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案 社債の管理等に関する規律の見直し
社債の管理等に関する規律の見直し
現行では、社債管理者の権限が広範であり、その義務、責任、資格要件が厳格であると指摘されています。
資格要件が厳格であるため、社債管理者のなり手の確保が難しい状況。
そこで、中間試案では新たに「社債管理補助者制度」を導入しようとしています。
社債権者において自ら社債を管理することができる社債がある場合が対象。
社債管理補助者は、社債管理者よりも裁量の余地の限定された権限のみを有します。
そして、社債管理補助者に、社債の管理を補助を委託することができます。
上記制度を設けることで、社債管理者の負担を軽減させるのが狙いです。
株式交付制度の創設
対象会社を完全子会社化とすることまで考えていない場合は、現行では株式交換を用いることはできません。
なので、単なる子会社化を実現したい場合、買収会社は、募集株式を発行することで、対象会社の株式を現物出資財産として行うしか方法はありません。
しかし、募集株式の発行の手続の場合、検査役の調査が必要だったり、填補責任を負う可能性があります。
そこで、もっと簡便に子会社化できないかということで提案されたのが「株式交付制度」です。
「株式交付」とは、株式会社が他の株式会社(これと同種の外国会社を含む)をその子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、その譲渡人に対して当該株式会社の株式を交付することをいいます。
(中間試案17頁より)
繰り返しになりますが、上記の方法の制度ができると、子会社化を実現するためにわざわざ募集株式の発行手続きをする必要がありません。
株式会社が他の株式会社を子会社化するため、自分の会社の株式を他の株式会社の株主に交付することで目的達成となります。
手続については株式交換制度を参考に検討されるとのことです。
まとめ
社債の管理に関する規律の見直しについては、中小零細企業はほとんど関係ないと思われます。
しかし、株式交付制度については、子会社化を簡便化できるという点で、中小零細企業でも採用する可能性があります。
登記事項にも絡む可能性があるため、今後の議論に注目したいです。
今回のまとめは、
- 社債管理者制度のなり手の確保の難しさから、「社債管理補助者制度」を創設
- 子会社化を簡便に進めるため「株式交付制度」を創設
上記内容が中間試案に盛り込まれました。
今回は
『会社法制(企業統治等関係)の見直し関する中間試案 他にも公表されている内容は?』
に関する内容でした。
参考書籍はこちらから
株式会社法 第7版
江頭 憲治郎 有斐閣 2017-11-11
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