東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
先日、法制審議会で会社法制に関する中間試案が公表されました。
前回速報形式で登記に絡みそうな内容についてブログで書きました。
今回の中間試案はどんな内容で構成されているのか、書いていきます。
あくまでも中小零細企業の株式会社の目線で今回の中間試案の内容について触れていきます。
あと、中間試案が出たからといって、そのまま会社法改正の要綱案にはならないことにも注意してください。
会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案の内容とは?
中間試案の概要は?
今回の会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間子案の概要について、大きく分けて4つあります。
- 株主総会に関する規律の見直し
- 取締役等に関する規律の見直し
- 社債の管理等に関する規律の見直し
- その他
今回は、「株主総会に関する規律の見直しについて」を書きます。
株主総会に関する規律の見直しについて
株主総会に関する規律の見直しは大きく分けて2つあります。
- 株主総会資料の電子提供制度の創設
- 株主提案権の濫用的な行使を制限するするための措置の整備
順にみていきましょう。
株主総会資料の電子提供制度の創設
まずは株主総会資料の電子提供制度の創設についてです。
まず、この制度を採用するにあたり、定款の定めが必要となっています。
株主総会資料をウエブサイトに掲載することで、株主が多い会社でコストを減らすことが可能になると思われます。
いつから電子提供措置をとり、株主総会の招集通知の発送時期をどうするかについては、今後議論が深められると思われます。
この制度を将来的には上場会社に義務付けるとも書かれているので、上場会社では定款で株主総会資料の電子提供制度を採用する旨定める必要があるでしょう。
電子公告と同じように登記事項までなるかどうかは現段階では不透明です。
株主提案権の濫用的な行使を制限するするための措置の整備
最近「ものいう株主」が増えているためか、一人の株主が膨大な数の議案を提案する事例が増えています。
中にはどうでもいい議案もあり、議事の円滑な運営や審議に無駄な時間がかかり、会社にとって大きな問題になっていました。
そこで今回の中間試案で株主提案権の行使を制限する動きが出てきました。
まず、株主提案権ですが、中間試案では様々な案がだされ、5ないし10までに制限すべきと記載されています。
役員の選解任議案も含めるのか、定款変更に関する議案をどう扱うかで、株主提案権の制限の数え方が変わり、ここはさらに議論されることになっています。
あと、濫用的な株主提案権がされている事案も多くなってきています。
そこで、例えば名誉侵害や侮辱目的、人を困惑させるような目的で株主提案権をした場合には株主提案権を制限できる規定を設けることが盛り込まれています。
まとめ
濫用的な株主提案権については、中小零細企業でも採用される可能性はあるでしょう。
中小零細企業で株主総会資料の電子提供はかえってコストがかかり、あくまでも大会社向けとなります。
現状の中小零細企業の株式会社の株主総会の運営ではさほど影響は少ないといえる内容です。
今回は
『会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案の内容とは?株主総会に関する規律の見直し』
に関する内容でした。
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