取締役の解任の要件は?[小さな会社の企業法務]

取締役の解任の要件は?

ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

大会社ではありますが、先日ヤフーニュースでこんな記事がありました。

レオパレスが村上世彰氏と攻防、全役員解任の瀬戸際に:日経ビジネス電子版

ところで取締役を解任したい場合、どのような手続を踏めばいいのか、今回解説します。

取締役の解任の要件は?

そもそも取締役を退任する場合とは?

取締役が退任する場合とは、どのようなケースが考えられるでしょうか。

  • 任期満了による退任
  • 会社法に定める欠格事由に該当した場合
  • 任期満了前の辞任もしくは解任
  • 死亡した場合

以上が、取締役の退任事由です。

また、任期を短縮した定款変更決議をした場合、すでに決議した任期を超えている場合も退任となります。

当然、退任事由が発生した場合、役員変更登記をする必要が出てきます。

取締役を解任する場合の手続は?

今回は取締役の退任事由のうち「解任」のことを書きます。

解任は株主総会の決議で行います。

原則会社法では、取締役の選任決議と要件は同じで、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席する必要があります。

普通決議で取締役の選任及び解任決議はできますが、定足数要件を通常の普通決議みたいに緩和することは許されていません。

なので、会社設立時の定款には、中小零細企業の場合は普通決議にしても取締役の選任・解任決議にしても、定足数を排除もしくは緩和することは避けるべきです。

そして「解任」決議について、取締役の身分を喪失する決議となるため、普通決議で果たしていいのかという問題もあります。

なので、会社によっては、設立時定款で、選任決議と解任決議は別要件にする場合もありえます。

解任を株主総会の特別決議並みの決議要件とすることも定款の定めでできます。

特に中小零細企業の場合は、解任でもめてしまうと会社の経営にも影響が出てしまうので、選任決議も含めてしっかり考える必要があります。

まとめ

取締役の選任決議・解任決議も含め、株主総会の決議要件は会社の経営に影響が出てきます。

定款雛形どおり何も考えないで要件を決めてしまうと後で大変なことになります。

リスクを少なくするために、取締役の解任決議要件も含め、決議要件もしっかり決めておきましょう。

今回は
『取締役の解任の要件は?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。