役員変更登記 旧姓併記はできるのか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
住民票など旧姓併記が2019年11月5日からスタートします。
住民票、番号カード旧姓併記=女性活躍推進、5日から可能に(時事通信) – Yahoo!ニュース
ところで、役員で旧姓で登記簿に記載したいという要請もあります。
取締役などの場合、旧姓で登記簿に記載することはできるのでしょうか。
役員変更登記 旧姓併記はできるのか?
商業登記の原則はどうなのか?
商業登記は、非公開会社の非取締役会設置会社の取締役就任登記のとき、印鑑証明書が必要だったりするため、基本は婚姻後の氏名で登記せざるを得ません。
ここで、婚姻前の氏で仕事をしたいという要請が出てきたため、平成27年2月から、婚姻前の氏を併記して登記することが認められるようになりました。
なので、婚姻後の氏で登記はせざるを得ないことの妥協点で婚姻前の氏を併記する形で解決した形となります。
私も旧姓併記で登記申請したことがあります。
実際実務ではそこまで旧姓併記した役員の方を見たというのはありません。
添付書面としては、婚姻前の氏を証する書面が必要となります。
その婚姻前の氏を証する書面は戸籍謄抄本が代表例となります。
住民票に旧姓併記されている場合に、登記も旧姓併記にすべきか
現状は旧姓併記のみの登記をする実益がどれだけあるかは未知数です。
登録免許税もかかってしまうし、役員変更登記と同時に行うことになろうかと思われます。
ただ、旧姓で仕事をしたいというニーズは高まっているので、今後は旧姓併記も増えてくるだろうと思われます。
ところで、「はじめ」にも書きましたが、2019年11月5日から、住民票など旧姓併記することが可能になりました。
そこで、役員変更登記の際に旧姓併記をした住民票や印鑑証明書を添付して、旧姓併記の登記ができるのか問題になります。
商業登記規則では「婚姻前の氏を証明する書面」としか記載されていませんが、住民票などで旧姓併記をしているのであれば、登記申請は受理されると思われます。
非取締役会設置会社の取締役就任のときに、旧姓併記希望で、印鑑証明書が旧姓併記になっていたら、それを旧姓併記に援用できそうな気がします。
また、取締役会設置会社の取締役及び監査役就任のときに本人確認情報が必要となります。
そのときに住民票を添付することで、旧姓併記で実在していることが明らかになるため、本人確認情報として添付する場合は、住民票も旧姓併記をしておくほうがいい気がします。
いずれにしても個人の問題となってしまうので、そもそも旧姓併記はいらないというのであればそれはそれでいいですが。
まとめ
旧姓併記にするのか、旧姓でも登記を認めるべきなのか、現在様々な問題が起きています。
婚姻時の別姓問題と絡め、役員変更登記での旧姓併記の問題は注目すべきです。
今回は
『役員変更登記 旧姓併記はできるのか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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