会社法の一部を改正する法律案が2019年秋の臨時国会に上程 中小零細企業での変更点は?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社法の一部を改正する法律案が2019年秋の臨時国会に上程されました。
上程理由は法務省のホームページに記載されています。
それに伴う商業登記も改正が予定されています。
中小零細企業ではどこが変わるのか、現在入っている情報を元に書きます。
会社法の一部を改正する法律案が2019年秋の臨時国会に上程 中小零細企業での変更点は?
今回の会社法の改正理由は?
法務省は以下のとおり、今回の会社法の改正理由を説明しています。
会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である
「会社法の一部を改正する法律案」の理由より
理由を見る限り、中小零細企業には影響が少ないように思われます。
ただし、商業登記で、それなりに改正があり、実務にも影響が出る可能性があるものがあります。
中小零細企業でも影響が出そうな改正内容は?
あくまでも私見ですが、中小零細企業で影響を受けそうなものは以下のとおりです。
- 支店所在地の廃止
- 取締役・監査役の欠格事由の見直し
- 印鑑届書の提出義務化の廃止
他にも新株予約権とか株式交付の登記、電子提供措置をとる旨の定款の定めの登記がありますが、中小零細企業ではあまり関係なさそうなので、今回は割愛します。
結構大事なのは、取締役の欠格事由の見直し。
現在、取締役・監査役の欠格事由として成年被後見人、被保佐人は取締役にはなれません。
改正案では、成年被後見人と被保佐人は欠格事由から外れます。
そして成年被後見人が取締役として就任するときは、成年後見人の同意を得て、成年後見人が被後見人に代わって就任承諾する必要があります。
後見監督人がいる場合には、成年後見人と後見監督人の両方の同意を得た上で行います。
被保佐人の場合は保佐人の同意を得て就任承諾することになります。
もしひとり会社で取締役が認知症になった場合、現行法では、取締役は自動的に退任しなければなりませんが、今回の改正案では、後見人の同意と就任承諾の意思があれば、ひとり会社でも存続可能であることを意味します。
いわゆるひとり会社のリスク回避にも繋がります。
ただし、いくらひとり会社であっても認知症のママ会社の経営は難しいため、それなりの方策は考えておかないといけないことは変わらないと思われます。
まとめ
会社法の改正法案が秋の臨時国会に提出されたとのことで、今後も動きがあり次第、ブログで紹介していきます。
株式交付制度がどういうのかもこの機会に勉強していきたいです。
今回は
『会社法の一部を改正する法律案が2019年秋の臨時国会に上程 中小零細企業での変更点は?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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