役員の任期を改めて考える 登記のコストだけで任期を10年にしていいのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社法になって、非公開会社の取締役等の任期を最大10年まで伸ばすことができるようになりました。
なので、中小零細企業の会社設立に際しては任期10年にしている会社がほとんど。
でも、任期10年で本当にいいのか?
このブログでも役員の任期についてはかなり書いていますが、再度考察してみましょう。
役員の任期を改めて考える 登記のコストだけで任期を10年にしていいのか?
役員の任期を10年にするメリットと功罪
会社法施行当時、任期を伸長すると、役員変更を2年毎にする必要がなくなり、登記にかかるコストを抑えられるメリットがありました。
なので、中小零細企業は、取締役の員数等に関係なく、任期を10年に伸長する定款変更決議を行っていました。
会社法施行後12年が経過して、役員変更をするのを失念していたため、法務局から会社を継続しているか通知が来ている会社が出てきています。
これが「みなし解散」の通知です。
みなし解散の通知が来たということは、過料を払わないといけないということになり、結構な損失です。
しかもその過料は会社の経費で落とすことができません。
役員変更登記をすれば会社の経費になったのに、節税にならないだけでなく、会社の経営に影響がでてきます。
会社法が施行された平成18年当時、「みなし解散」のことまでは言われていなかった気がします。
最近は毎年「みなし解散」の通知がされているので、役員変更登記はあなどれない事態になっています。
登記事項証明書で会社の信用が分かってしまう?
役員の任期が10年だと、会社設立後10年間登記事項に変更がなければ登記をしていない会社もでておかしくありません。
また、登記簿を見ると、取締役の任期が10年のために、経営者以外の取締役が「辞任」「就任」を多く繰り返している会社もあります。
人の入れ替わりが激しく、この会社大丈夫なのかと疑われても仕方ありません。
さらに、会社設立後10年以上が経過して、同じ取締役が「退任」「就任」と登記簿に記載されている場合、退任と就任との間がかなり空いている場合は登記懈怠していたのだと分かってしまいます。
登記事項証明書は誰でも取得できるので、取引しようとしている会社があなたの会社の登記簿を見たときどう思うのかは常に経営者は意識すべきではないでしょうか。
取締役等の任期を10年にしないほうがいい会社とは?
私は、同族会社でも取締役の任期を10年にしないほうがいい場合があります。
それは、取締役が複数名いる会社。
先程も書きましたが、人の入れ替わりが激しくなると、そのたびに登記しないといけなくなります。
「辞任」「就任」が多いとやっぱり会社としての信用は下がると思いますし、最近は会社内部で働き方とか大丈夫なのかと変な印象を受けられてしまいます。
取締役が多い会社であれば、任期を短縮し、任期満了ごとに役員変更登記すれば、会社のコンプライアンスや信用度は高まるでしょう。
まとめ
意外と登記事項証明書を取得するとこの会社大丈夫だと思ってしまうことがあります。
役員に関する事項は結構第三者から見ても目が行きがちなので、任期についてはもっと経営者は敏感になったほうがいいです。
今回は
『役員の任期を改めて考える 登記のコストだけで任期を10年にしていいのか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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