相続法改正 配偶者居住権を除く改正がスタート!
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
2019年7月1日、いよいよ相続法の改正がスタートします。
今回の相続法改正は、かなり大掛かりな内容となります。
このブログでも何度も紹介していますが、再度紹介していきます。
相続法改正 配偶者居住権を除く改正がスタート!
2019年7月1日の相続法の改正の目玉は?
自筆証書遺言に関する改正は、2019年1月13日に施行されています。
今回の相続法の改正は、配偶者居住権を除く部分が対象となり、かなり大掛かりなものとなります。
7月1日に施行される相続法改正の内容は主だったものとしては下記のとおりです。
- 遺産分割等に関する見直し
- 遺留分制度に関する見直し
- 相続の効力等に関する見直し
この3つの中であなたに関係しそうな部分をピックアップして紹介していきます。
遺産分割等に関する見直し
遺産分割等に関する見直しで大きなものとして、遺産分割前の預貯金の払い戻し制度の創設があります。
預貯金債権について、平成28年12月19日の最高裁判所の判決で、遺産分割の対象となると判示されました。
遺産分割の対象になるということは、遺産分協議が終わらないと、被相続人名義の口座でお金をおろすことができないことを意味しています。
そうなると、被相続人の入院費用や施設費用、債務の弁済などができなくなり不都合が生じます。
そこで、遺産分割前にも被相続人名義の口座から一定額の金額を裁判所の許可を得ずに下ろすことができる制度が設けられました。
これで、被相続人の債務の弁済や、入院費用・施設費用の支払いをすることができます。
ただし、この権利を行使できるのは、一定金額であるというところに注意が必要です。
共同相続人のうち、単独で行使できる金額は、遺産に属する預貯金債権のうち、その相続開始時の債権額の3分の1に当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分を乗じた額となります。
さらに、一つの金融機関に払戻しを請求できる金額については、最大150万円までと決められています。
遺留分制度に関する見直し
遺留分制度自体は廃止になるわけではなく、遺留分の効果が変わります。
何が変わるのかというと、従前は遺留分が行使されると、贈与や遺贈などが一部無効となり、面倒なことになっていました。
例えば、被相続人が不動産しか財産がなく、それを相続人が遺言に基づき承継した場合、遺留分権利者が行使すると、当該不動産が共有状態となり、紛争の問題がありました。
今回の改正で、遺留分権利者が遺留分を行使した場合、贈与や遺贈が一部無効とならず金銭債権という扱いに変わります。
これは事業承継で株式の共有を防ぐことができ、会社経営が安定するという側面もあります。
物権的請求権から金銭債権に変わるというところが遺留分制度に関する改正で大きいところです。
相続の効力に関する見直し
遺言や遺産分割で当該不動産を承継したものは、全てにつき登記を得なくても第三者に対抗することができていました。
今回の改正では、遺言等で不動産を取得した場合、速やかに登記をしないと、法定相続分を超えた部分については第三者に対抗できないということになりました。
相続人が2名いて、遺言で、一方相続人に不動産を相続させる内容であった場合を例にします。
不動産をもらった相続人が相続登記をしないでいるうちに、他方相続人の債権者が債権回収のため不動産を差し押さえてきた場合、あくまでも対抗できるのは、自分の法定相続分のみ対抗でき、残りの部分は債権者に対抗できないということになります。
これも意外と大きな改正です。
まとめ
配偶者居住権を除いた相続法の改正、実務でもかなり影響が出そうです。
推移を見守りながら自分の業務でも対応する所存です。
今回は
『相続法改正 配偶者居住権を除く改正がスタート!』
に関する内容でした。
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