法務局で取得できる「履歴事項全部証明書」で会社の状況がある程度分かります。
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社の登記簿。
会社の現在の状況がどういう状態かを把握できます。
登記事項証明書を取得したとき、チェックするポイントはどこでしょうか。
なお、基本的に役所で使うのは「履歴事項全部証明書」なので、履歴事項全部証明書を取得するようにしてください。
さらに、履歴事項全部証明書は管轄法務局以外でも取得可能です。
法務局で取得できる「履歴事項全部証明書」で会社の状況がある程度分かります。
チェックポイント1 株式譲渡制限会社かどうか
中小零細企業はほとんどの会社で「株式譲渡制限に関する定め」を規定しています。
まずはそこを確認してください。
株式譲渡制限会社(=閉鎖会社)の場合、取締役会設置の義務はなく、役員の任期も最大で10年まで伸長できます。
逆に資本金の額が1,000万円であるにもかかわらず株式譲渡制限会社になっていない中小零細企業もあります。
会社成立年月日を見れば分かりますが
昭和30年代に設立している会社は、株式譲渡制限を設定しなくてもいいのです。
譲渡制限がついていない会社の取締役の任期が2年毎、監査役は4年毎に役員変更登記をしているかもチェックするポイントです。
チェックポイント2 役員欄がどうなっているか
役員欄のチェックポイントはどのようにして就任等しているかと年月日、登記年月日を確認してください。
会社設立してまだ役員変更をしていないのであれば会社成立年月日を見ます。
ここでおおよそ役員の任期がどれだけかを把握することができます。
任期が満了しているのに役員変更登記をしていないとか、役員変更はしているが「退任」「就任」となっていて登記懈怠・選任懈怠したのかも分かります。
ここだけ見てもコンプライアンスをしっかりしているかどうかを把握することができます。
あと、監査役設置会社で、「監査役の権限が会計限定のみ」の登記が入っているかどうかも一つのポイント。
入っていない会社であれば、監査役の権限は業務監査権限まで拡大されるので、ある意味しっかりした会社だと思われます。
一方で、監査役設置会社で「会計限定のみ」の旨の登記を本来は記載していないといけないにもかかわらず登記されていない会社はどうなのかと思われても仕方ありません。
役員欄を侮るなかれですね。
最後に変更登記をしてから12年を経過すると「みなし解散」の通知がされます。
チェックポイント3 種類株式発行会社 新株予約権発行会社か
中小零細企業で種類株式発行会社や新株予約権を登記している会社はある程度将来を見越している会社といえ、好感が持てます。
中小零細企業で種類株式を発行している会社は、将来の事業承継を視野に考えていることが多いです。
ただし、黄金株を発行していると、この会社は株主総会で一人の意見でなんでも決められてしまうというマイナス面で見られることもあります。
一方、新株予約権を発行している会社は、将来の役員のインセンティブを確保するために予め登記していることが多いです。
なので、将来規模を大きくしていく可能性があると見て取れます。
種類株式発行会社や新株予約権を発行している会社は好感を持てると書きましたが、なかには種類株式や新株予約権の中身が登記簿から見ても分からない会社があります。
中小零細企業が種類株式や新株予約権を発行するときは大企業の真似をして発行してもいざ実行する時に当初予定していたようにはならないこともあります。
なので、種類株式や新株予約権を発行していて立派な会社と思っていても思わぬ落とし穴があったりします。
結局は種類株式や新株予約権の内容が登記されていても実際に何をしたいのかわからなければ意味はありません。
チェックポイント4 会社成立年月日をみる
株式会社は登記をした日が会社成立日になります。
なので、古ければ古いほど会社経営はしっかりしていると一応見て取れます。
しかし、役員欄とか登記懈怠があったりすると、いくら業績が古くてもコンプライアンスはしっかりしていないと思われてしまいます。
まとめ
会社の履歴事項全部証明書を見ると、会社の現状が分かります。
本来は定款を見比べながら会社の状況を判断すべきですが、登記簿からもある程度の会社の情報を見ることができるのです。
今回は
『履歴事項全部証明書で分かってしまう!登記事項証明書の見方を教えます!〔小さな会社の企業法務〕』
に関する内容でした。
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