東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
会社が事業拡大のために資本金を増額させたいということがよくあります。
しかし、何も増資決議をしていないにもかかわらず会社に資本金を払い込んでしまった場合、増資の効力があるのでしょうか。
増資をするにあたって知っておきたいことは?
増資をする時にこんなこと、疑問になりませんか?
- そもそも増資ってなんですか?
- 増資の手続はどのように行えばいいですか?
- お金の払込はいつすればいいですか?
以下説明いたします。
そもそも増資ってなんですか?
増資とは会社が資本金を増やすことをいいます。
株式会社の増資には、新株を発行して株主から一定金額の払い込みを受ける有償増資と、払い込みを伴わない無償増資があります。
今回は有償増資のことを書きます。
無償増資のことはあらためて紹介します。
よく、経営者が会社に対してお金を入れることがありますが、これは増資とは言えず、会社に対する貸付金にあたることが多いです。
増資の手続はどのように行えばいいですか?
今回は株主や第三者からの有償増資、いわゆる新株発行のことを書きます。
なお、株式会社の形態は取締役会を置かない会社を想定します。
流れは以下のとおりです。
- 株主総会で募集株式発行の募集事項の決定決議
- て株式の申込みをしようとする者に対して通知
- 株式の申込み
- 誰に新株を割り当てるのかを決める割当決議
- 割当通知
- 割当通知を受けた者は、会社の指定口座にお金の払込み
新株発行の基本的な流れは以上のとおりです。
総数引受契約で行う場合は多少手続きの方法が変わります。
お金の払込はいつすればいいですか?
募集株式の発行手続きの流れを見ていただけるといいですが、原則は割当通知を受けた後に払込みを行います。
払込期日までに入金しなかった場合は、新株をもらう権利を失います。
増資の決議前にお金を払い込んでしまったのですが有効か?
中小企業の増資は有償増資がほとんど。
しかも経営者自身や会社関係者に株式を割当てて払い込んでもらい事
まれに経営者が会社にお金を貸し付ける方法もあります。
さて、株主総会決議前の払込ですが、原則難しいと思ってください。
なぜかというと株主総会で初めて募集株式発行の募集事項を決定し、そこで払込期日も募集株式の内容として決議されるからです。
株主総会も開催していない、払込期日もはっきりしていない段階での支払は、登記官の印象も悪いです。
さらに「預けておいた金銭の返還請求権を現物出資したのとどこが違うのか」と登記官に思われてしまい逆効果です。
現物出資の募集株式の発行は必要書類が異なることもあるため、面倒になります。
よって、募集株式の発行の株主総会をしていない状態での払込は増資としては無効と覚えておくといいでしょう。
このような場合は、一度銀行口座から引き出し、再度入金する方法をすることが多いです。
(以上「事例で学ぶ会社法実務全訂版118頁)
意外と実務でも、お金を入れれば増資できると思っている経営者が多く、株主総会決議前に入金することが多いので注意してください。
まとめ
まず、増資は株主総会で募集事項を決定し、申込みをして割当てをして払込みをさせてはじめて成立します。
なので、増資をしたいと思ったらまずは専門家に相談して手続をするようにしてください。
今回は
『ひとり会社と株主が2名以上いる株式会社では株主総会の開催方法を変えるべきでは?』
に関する内容でした。
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募集株式の際の手続のひとつ「総数引受契約」に関する内容はこちらを御覧ください。
募集株式の発行 総数引受契約で第三者割当で決議から払込、登記まで一日でできる!
参考書籍はこちら
事例で学ぶ会社法実務〈全訂版〉
東京司法書士協同組合/金子 登志雄 中央経済社 2018年04月19日
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