東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
今回は司法書士企業法務実務日記。
株主がひとりである会社と2名以上いる株式会社。
株主総会は毎年開かなければならないもの。
開催方法について、株主の数でやり方を変えるべきだと思っています。
なぜでしょうか?
ひとり株式会社の場合は株主総会の決議の省略を活用すべき
そもそもひとり株式会社の場合、株主総会自体開催しないのが自然。
決議事項は会社法第319条を根拠に、報告事項も会社法320条の規定を根拠に株主総会を開かなくてもできます。
ひとり会社の場合、定時株主総会でするのは、役員改選時期以外は、事業報告と計算書類の決議だけの場合がほとんどです。
なので、会社法319・320条の両方を合わせて、定時株主総会自体開かずにみなし総会で済ませるのがいいと思うし、もっと積極的に活用すべきではないでしょうか。
大会社の100%子会社の場合、みなし総会を活用しているようですが、コンパクト会社でひとり会社でも同じようにすべきです。
議事録については、会社法施行規則に定めているとおり残しておけば、後日何かあったとき証拠として残るので、作成すべきでしょう。
株主が2名以上いる場合の定時株主総会の対応は?
株主が身内だけである場合か第三者がいる場合かで扱いが異なります。
株主が2名以上で身内だけの場合
株主が身内だけであれば、ひとり会社同様、定時株主総会自体を開催することはないと思います。
なので、みなし総会決議で対応していいでしょう。
もしくは身内が集まる時に、株主全員が集まったことにして株主総会を開催するのもありです。
株主が身内だけなので、すぐに株主全員が集まるのが容易です。
株主全員が集まれば、招集手続が省略でき、すぐに株主総会を開催できます。
株主が2名以上で第三者が絡んでいる場合
一方、株主に第三者が絡んでいる場合は、招集手続から手続きを踏んで株主総会を開催すべきです。
なぜなら、身内が株主の場合と異なり、株主間での紛争のリスクが大きいからです。
特に、会社設立して上場を目指している会社や、ベンチャー企業から支援を受けている場合も、会社法もしくは定款の規定に基づき株主総会を開催すべきです。
株主総会開催時のその他の留意点は?
株主総会議事録は、実際に株主総会を開かずみなし総会で行った場合であっても会社法の規定に基づき作成義務があります。
定時株主総会であっても、臨時株主総会であっても同じです。
なお、会計限定監査役がいる株式会社について、定時株主総会の省略ができないという説があります。
こちらについては、反対説もありますが、実務では会計限定監査役がいる会社でみなし定時株主総会をすることができると解されています。(事例で学ぶ会社法実務全訂版186頁)
まとめ
株式会社の場合、ひとり会社であっても株主が2名以上でも必ず定時株主総会を開催し、議事録を作成し保管しなければなりません。
ただ、株主の状況に応じ、みなし総会で済ませる方法もあるので活用したほうがいいでしょう。
今回は
『ひとり会社と株主が2名以上いる株式会社では定時株主総会の開催方法を変えるべきでは?』
に関する内容でした。
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みなし総会で株主総会を開いたことにした場合、議事録にはどのような記載が必要か?こちらもあわせてごらんください。
ひとり株式会社だからこそ株主総会の書面決議・書面報告の活用を!
参考書籍はこちら
事例で学ぶ会社法実務〈全訂版〉
東京司法書士協同組合/金子 登志雄 中央経済社 2018年04月19日
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