東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
あなたが会社を設立してもし自分の身に何か起きたとき、どうなってしまうのかご存知ですか?
もしあなたひとりの会社であったら・・・
万が一に備えて対策を立てておくことが重要になります。
今回はひとり株式会社の場合を取り上げます。
ひとり株式会社 自分の身に何か起きたとき法律はどうなるか?
株主が亡くなったとき、株主の地位はどうなるか
ひとり株式会社の経営者であるあなたが万が一亡くなった場合、株主の地位はどうなるか。
ひとり会社であっても株式は相続財産となるので、株式の価値の有無にかかわらず相続人に法定相続分の割合で共有されます。
「株式を共有する」というのは1株を複数の相続人が相続割合に応じて所有するという意味です。
例えば100株所有していて、相続人が2人の場合、株式はどうなるのか?
相続人が50株ずつ所有すると思った方もいるでしょうがそうはなりません。
100株を法定相続分に従って所有することになります。
なので、議決権の行使のときもお互いの意見を聞いてからでないといけませんし、会社に対しても議決権行使者を報告する必要があります。
遺産分割協議をしたり、遺言で誰かに株式を所有させることが決まって初めて単独で株式を持つことができます。
相続が開始したら法定相続分どおりに分けることにはならないことを覚えておくといいでしょう。
結論としてはひとり株主が亡くなっても会社の解散事由にはならないこと、相続人が株式を引き継ぐことになります。
取締役が亡くなったとき、取締役の地位はどうなるか?
取締役が亡くなると当然取締役は退任となります。
なので、株主が相続人である場合、相続人全員の承認のもと、招集手続を省略して株主総会を開き、速やかに取締役を選任する必要があります。
ここで注意しなければならないことがあります。
相続人中相続放棄をする予定のある方は、一度議決権を行使すると、被相続人の財産について単純承認したとみなされます。
となると相続放棄をすることができないので注意してください。
相続放棄する予定のある方は、早めに相続放棄手続をすることをおすすめします。
ひとり株主・取締役が認知症になった場合
もし経営者が認知症になった場合、後見類型が被後見人・被保佐人となった場合、取締役の欠格事由にあたり、退任することになります。
会社法第331条1項2号で定められています。
第331条(取締役の資格等)
1 次に掲げる者は、取締役となることができない。
一 法人
二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
(以下略)
株主であるものが認知症になると、議決権を行使できなくなり、株主総会を開くこともできなくなります。
後見人が被後見人に変わり株主総会を開催できるかについては現在できるという説とできないという説があり、議論が分かれています。
緊急の場合は致し方ないですが、今後株主総会を開くに際し、後見人が株主総会を開いていいかは大いに疑問の残るところです。
まとめ
ひとり株式会社の場合、万が一自分になにかあるとリスクが大きくなります。
会社経営にも影響がでるし、相続人にも影響がでますので、きちんと対策を取るようにしてください。
今回は
『ひとり会社の問題点は?株式会社編』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
ひとり株式会社の場合、事業年度終了後から定時株主総会の流れを知っていることは経営上大事になります。こちらも御覧ください。
ひとり株式会社法務編 事業年度終了から定時株主総会の開催、計算書類の決算公告まで
参考書籍
商業登記実務から見た 中小企業の株主総会・取締役会
立花 宏 中央経済社 2017-04-28
|