東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
会社設立をするにあたり、発起人の決定で決めなければならないものがあります。
決めなければならない内容とは何か、今回は紹介します。
なお、今回は取締役会を置かない会社を想定して書きます。
会社設立登記 発起人の決定で決めるものは?
定款の絶対的記載事項は?
会社法第27条で定款には以下のことを必ず記載する必要があります(絶対的記載事項)
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
なお、定款で、「本店の所在地」は、最小行政区画まで定めれば足ります。
例えば「東京都江戸川区」という振り合いで大丈夫です。
あと、定款で資本金の額や発起人の引受株式数と出資額を定める必要がありません。
さらに、発起人の氏名又は名称及び住所は定款の絶対的記載事項になっていますが、取締役や代表取締役の氏名及び住所は定款の絶対的記載事項になっていません。
発起人の決定事項と決議要件は?
会社法第32条で発起人の同意を要する事項が定められています。
(設立時発行株式に関する事項の決定)
第32条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
以上のことを定款に記載していなければ、発起人の同意で決める必要があります。
さらに、定款で本店の具体的所在場所を決めていなかったり、取締役や代表取締役を決めていなければ、発起人の同意で決めます。
発起人の同意で決めたものは、登記で必要となるので、原則書面にし、発起人の署名又は記名押印をします。
実務上はどうなのか?
私が会社設立する際は、資本金の額や発起人の引受株式数、取締役や代表取締役など定款で定めることができることは、ほとんどを定款で決めてしまいます。
なので、発起人の同意で決めることは、本店の具体的所在場所くらいです。
なぜ、本店の具体的所在場所を定款で定めないかというと、本店移転あるたびに定款変更決議が必要で面倒だからです。
定款に「本店は東京都江戸川区中葛西三丁目37番3号とする」と定めると、本店を「中葛西四丁目」や「37番8号」に移転するとき、定款変更決議が必要になります。
定款変更は株主総会の特別決議が必要で、株主が多いと手続が煩雑となり、面倒です。
定款に「本店を東京都江戸川区とする」と記載すれば、江戸川区内に移転する際は定款変更は不要で、手続も取締役の決定で行えます。
なので、会社設立時の定款には本店の最小行政区画までとし、具体的所在場所は発起人の同意で定めるのです。
まとめ
まずは定款の絶対的記載事項は何かを把握し、発起人の同意で決めるものを確認してください。
ただ、実務では発起人の同意で決めるものも定款で決めることが多いのも事実です。
簡単に会社を設立したい場合は、定款に発起人の同意のものも盛り込み、実際の発起人の同意は必要最小限にすることが実務で多いです。
今回は
『会社設立登記 発起人の決定で決めるものは?』
に関する内容でした。
会社設立に関する書籍はこちら
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
|