特例有限会社でも株主名簿を整備すべきですか?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
特例有限会社でも株主リストが必要であることは、以前のブログで紹介しました。
特例有限会社の株主リスト 添付するのに何か違和感がありませんか?
特例有限会社でも、株主総会で登記すべき事項があった場合、株主リストを添付しなければなりません。
株主リストを作成するにあたり、特例有限会社でも株主名簿を整備する必要があるのでしょうか?
特例有限会社でも株主名簿を整備すべきですか?
旧有限会社の社員の扱いはどうだったか?
平成18年5月以前まで、有限会社では社員の氏名および住所、各社員の出資口数が定款の絶対的記載事項でした。
また、社員名簿を備えておく必要もあり、それには社員の氏名・住所、出資口数が記載されていました。
なので、社員の持分譲渡や退社、入社があれば、定款変更決議を必要とし、さらに、社員名簿も書き換えが必要でした。
会社法改正で特例有限会社の社員はどう変わったか?
まず社員の氏名・住所、社員の出資口数は定款の必要的記載事項から削除されました。
そして、
(ア)社員の氏名および住所、
(イ)社員の出資口数
については、会社法改正で、
(ア)株主の氏名および住所、
(イ)株式の数
にそれぞれ読み替えられました。
社員名簿も株主名簿と読み替えとなっています。
なので、株主が別の人になった場合でも定款変更が不要になりました。
ただ、譲渡承認を受けるためには承認が必要であることは、旧有限会社のときと変わりません。
特例有限会社の社員(株主)がどうなっているかを把握する
まず旧有限会社法時代に社員が変わっていた場合、定款変更決議をしているはずなので、それをまず調べる必要があります。
社員総会議事録を作成しているはずなのでそれを手がかりにします。
多くの有限会社は定款変更はしたけれど、それを定款に反映していないことがほとんどです。
もし、旧有限会社時代で、社員に相続が発生していると、口数の相続がされていて、細分化されていることが予想されます。
会社法が施行になり社員の口数が株主となった場合でも同じです。
いずれにしても現状の株主は誰かというのを会社は把握しておくことが大事です。
特例有限会社でも株主名簿を整備するのは法律上必須といえます。
ちなみに株主名簿に記載しなければならないことは法律で決められています。
第121条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
まとめ
特例有限会社でも株主名簿を整備することは重要になります。
それを怠ると会社は株主が誰か把握できないまま運営することになり、経営リスクを負うことになります。
もう一度自分の会社は大丈夫か、確認しておきましょう!
今回は
『特例有限会社でも株主名簿を整備すべきですか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。