ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
特例有限会社でも株主リストが必要であることは、以前のブログで紹介しました。
特例有限会社の株主リストを添付書面とするとき、ちょっと違和感があります。
特例有限会社の株主リスト 添付するのに何か違和感がありませんか?
特例有限会社の特別決議と株主リストの数字があわない
株主総会で登記すべき事項を決議した場合、登記の添付書面には「株主リスト」が必要です。
これは特例有限会社でも適用されるということはご承知でしょう。
ただ、商号を変更したい場合、定款変更に当たるので株主総会の特別決議が必要です。
特例有限会社の株主総会の特別決議と株主リストに記載すべき株主の数が一致しないのです。
商業登記の権威、司法書士の金子先生のブログを見ると
今度、有限会社の案件で定款変更するのですが、有限会社の決議要件は議決権の4分の3以上であるのに、株主リストは3分の2以上までですから、 何となく違和感を感じてしまいます。
という記載がありました。
たしかに、特例有限会社の場合、株主総会の特別決議は「総社員の半数以上で、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数」となっているので、「株主リスト」をなぜ必要なのか違和感を覚えました。
「株主リスト」を添付する趣旨を確認する
株主リストを添付させる趣旨は、登記の真実性を確保し、法人格の悪用を防止するためです。
また、代表者が真実であると証明する「株主リスト」の添付を求めることにより、虚偽の株主総会議事録が作成されることを可及的に防止することができ、不実の登記がされることも防止することができるのも株主リストを添付させる趣旨です。
なので、「株主リスト」から議決権について求めることはなく、ただ、登記の真実性を確保する側面が強いです。
株主リストは株主総会議事録とは別個切り離した書類と考えるのがいいかと思います。
金子先生のブログでも以下のように結論を出しています。
株主リストは総会決議等がなければ不要であることから、この点では従属しても決議の要件を満たしたものかを問うものではないため、この点では独立した登記の添付書面です。
私の予想では・・・
法務省の担当者は、ただ単に株主総会のリストの添付は、不正登記の防止に力点をおいていたため、議決権のことまでは頭になかったと思います。
とりわけ、特例有限会社の特別決議の要件のことまでは法務省の担当者は考慮していなかったと思います。
まとめ
読者の皆様は、特例有限会社でも株主総会で登記すべき事項があれば株主リストが必要だということは覚えておいてください。
ただ、株主リストは不正な登記をさせない趣旨で添付が必要だと思えばいいでしょう。
今回は
『特例有限会社の株主リスト 添付するのに何か違和感がありませんか?』
に関する内容でした。